日本縦断フーゾクの旅
出張などで日本全国、よく歩き回るほうだ。
知らない土地に行くと人恋しさも手伝って、「あ~Hなことしたいな」と思うが、そんな店はタウンページにも出ていないだろうし、どんなシステムなのかもわからないため、あきらめていた。
と思ったらこの本と出合い、いやぁ~よかった。写真も豊富だし、簡潔な文章で実に多くの情報を伝えてくれる好著。それと同時に、高度資本主義社会日本において、やはり需要の高い「性」という商品は、地域差はあれど流通しているんだなぁ~、と感じた。
個人的には、紀行文としても好きなほう。いつかは日本中を縫うように這うように、旅してみたいと思いました。
Some Feeling
安田南といえば1971年中津川フォーク・ジャンボリーの顛末が有名だが、そのイメージのみが先行し、
本来の「歌手・安田南」の存在が語られる機会は殆ど無かったように思う。本作はそんな彼女を知るための抜群のテキストであろう。
彼女のヴォーカルは安易に聴衆を寄せ付けない独特のオーラがあり、歌唱の手法から「下手」に聴こえてしまうが、その認識は誤りだ。
他者を寄せ付けない解釈、唱法。その座標軸は吉田美奈子や浅川マキのものに近い。何か特定のジャンルで括る事が不可能なのだ。
殊に本作は全曲オリジナル。
バックを松岡直也、村上秀一、大村憲司、小原 礼、高水健司、秋山一将らがガッチリ固め卓越した世界を創り上げている。
本作のCD化を機に「歌手・安田南」にスポットが当れば、と祈る。
South
KING VINTAGE JAZZ COLLECTOR'S EDITION「第1期」。ジャズ・シンガー、安田南さんの1974年2月、青山「ロブロイ」での臨場感あふれるライヴ録音盤。ファースト・アルバムながら完成度が高く、当時のジャズ・ヴォーカル界に衝撃を与えた作品。「Bye Bye Blackbird」に脱帽。彼女ならではのヴォーカルが飛翔し、その真似のしようがない奔放なジャズ・フィーリングで聴く者を圧倒。「Chains of Love」は、スキャットを用いて、バックとスリリングなやりとりを演じています。バラード仕立ての「Good Life」では、アルト・サックスのムーディーなソロが、ヴォーカルに色彩を添えています。本アルバムは収録から38年が経過。いま聴いても彼女の歌声が、いささかも色褪せていないことに改めて驚かされます。
南へ走れ・海の道を! [VHS]
大学生の頃、名画座で何回もよく観ました。今回ようやくソフトを入手。
「ふぉーりーふぁいう”おーろまりっく」と45オートが登場した瞬間から、身内を殺された男の復讐劇が始まります。
45オートの猛烈なマズルフラッシュは、口数の少ない主人公の怒りを見事に表現。日本映画にしては非常に珍しく、ディテール細かくガンアクションが描かれていきます。
圧巻は、唐突に始まるクライマックスの殴り込みシーン。
主人公は被弾しながらも、チェンバーに最終弾を残したまま弾倉を次々交換していく、正統派のコンバットシューティングをやって見せます。弾数をきちんと計算しているのです。この辺り、フィリピンから帰ってきた主人公が、ただ者ではなかった事をうまく表現しています。
終始ギラギラと照りつける真夏の日差し。
見終わった後の不思議な爽快感は、大学生当時も今も変わりませんでした。DVD化を望みます。
226 [DVD]
1989年公開、松竹・奥山和由プロデューサーが「仁義なき戦い」「二百三高地」の東映を代表する脚本家・笠原和夫に原作・脚本を任せ、五社英雄が監督した作品。笠原脚本は、昭和11年に起きた226事件を時間的に集約させ、ドキュメンタリータッチで書かれている。そのため、陸軍若手将校らの決起に至る過程は省かれ、彼らの背景でもある貧村の過酷な暮らしも挿入されることはない。ひたすら、事件が起きたとおりを、時間軸に沿って、忠実に描いている。そのため、将校らの性格付けに濃淡が乏しく、失敗に終わったクーデターへの感情移入も困難だ。歴史上、226の終結に関しては、天皇の英断が決定打となったことはよく知られているが、天皇の姿も現れず、天皇がなぜ激怒したかも見るものにはわからないだろう。五社演出は、計算ミスの混じった脚本をダイナミックに描いているが、高揚感に乏しいラストになった。