God Willin' & the Creek Don't Rise [12 inch Analog]
いやぁ渋いなぁ、これ。CDショップでちょこっと視聴したくらいだったらきっと食指が動かなかったかもしれない、淡々とした音楽。だけど、聴けば聴くほど味がでるって類の作品ですね。
4作目にして初のセルフプロデュース、かつバンド名義。気心の知れた仲間たちと、自分の奏でたい音楽の焦点がより定まってきたんだろうか、アメリカ南部のルーツミュージックにぐっと舵を切ってきた感じですね。特にペダルスティールの調べが心地よく、元々のちょっとハスキーでハイトーンなボーカルがより映える仕上がりだね。で、バンド名義とはいっても「必要最小限」とか「過不足なく」などという次元ではもはやなく、「彩を添える」という言葉がぴったりの渋さ。全般的にはちょっとファンクっぽい(1)以外は“フォーク”と称しても差し支えないほどに、簡素にしてアコースティックな響きがいい感じです。
虚飾をそぎ落とした、まさに精進料理のような音楽。こういった音楽がビルボートチャート3位となるところに、まだまだアメリカも捨てたもんじゃないですよね。
God Willin' & the Creek Don't Rise
前作Gossip in the Grainあたりで顕著にアメリカのルーツ・ミュージックへの傾倒が表れ、シンガー/ソングライターとしてギターをかきならすデビュー作Troubleでの印象は後退しました。
今回、バンド名義も加わることで、シンガー/ソングライターとしていい曲を書きながらも、アメリカ南部のルーツ・ミュージックを志向したバンドの演奏にしっかり支えられるようになった、と思います。彼には地味で古風なところがあるからこそ、30歳を過ぎてからのデビューとなったわけですが、ほかのレヴュワーさんもおっしゃっているように、ボブ・ディラン、ニール・ヤング、ジョニ・ミッチェルあたりの音楽を本当に尊敬しているのでしょう。
歌詞は封入されています。