水の中の犬 (講談社文庫)
暴力は限りなく痛く、切ない描写に心も痛くなりました。
何度かウルッっと…
前作の[藁の楯]も読みましたが、この作家が描く男は渋いですね。
痛め続けられるのに折れない探偵と
なんとも味わい深い矢能の組み合わせは絶妙。
男性はもちろん、日頃ハードボイルドを読まない女性にもお薦めします。
BE-BOP-HIGHSCHOOL ビー・バップ・ハイスクール [DVD]
仲村・清水コンビからの世代交代。内容はリアルではあるが、何故か昭和の893路線の香りが漂う。難を言えば菊リン弱すぎ。コウジに迫力が感じられない。やはり敵方は柴田と西であってほしかった。
キッド
ひょんなことから、死体遺棄の手助けをすることになった石川麒一。死体を埋めたり、掘り出したり、隠したりと予想不能の展開が待ち受けるエンターテイメント。
著者の作品は初めて読んだのだが、1つの死体を巡る謎の組織との駆け引きが絶妙で、二転三転する展開は最後まで楽しめた。
また、どんなピンチでも明るく楽観的で、自分なら何とかなると信じる石川のキャラクタは好感がもてた。最後の終わり方も爽快でよかったと思う。
キラーズ [DVD]
短編映画集。五人の監督による、セッションとも言える。
公開当時、劇場に足を運んでしまった一人である。お気に入りは、やはり、押井監督の「.50 Woman」。
『人は昔から今に至るまで、喰うために戦い、戦う為に食う』の格言どうりの王道のシナリオだ。
50口径とは、直径12.7mm弾の事だが、昨今の狙撃事情を知らないと、その巨大な弾のニセ物臭さと大きさと破壊力に、戸惑うかもしれない。
コンビニで購入した『補給物資』を喰う度に累積する金額表示と、時に主人公が魅せるプロの視線が、押井演出の鋭い所だが、他の作品がアクションとしてしか成立していないのに対し、全てをシンプルにまとめ、無駄を排する洗練された映像は、短編という限られた時間の中で、如何にキャラクターを際立たせるかを熟知している、押井監督ならでは。
狙撃のターゲットがジブリの某プロデューサーなのはご愛嬌でもあり、見事にはまっているのが洒落ていて良い。
主人公の女スナイパーを演じているニューハーフの仁乃唯さんはBGMの作曲も手がけている。なお、映像特典として、メイキング映像/ロマンシング・プランツPV/予告編集。音声特典として、オーディオ・コメンタリー(2種類)の内容だ。83点。