女と男のいる舗道
『あがた森魚読本』を読むと『タルホロジー』を出す以前にあがた自身から久保田麻琴へプロデュースのアプローチがあったと久保田が証言している。
それだけあがたの才能を形にしてくれるプロデューサーが日本に少なく、制作サイドの貧困さを感じさせるエピソードだが、
本作はムーンライダーズの白井良明をプロデューサーに迎えたアルバム。映画音楽をモチーフにした企画は少し安易な気がするが、
やはり聴いてみるとあがたのオリジナル曲が無く、無理やり曲に詩や言葉を載せているような気がした。特に「海底二万哩」は、
あがた本人が選ばざるを得なかったんだろうけれども、どうにも料理できない曲だった。オリジナル曲を封印しなければならないとなると
あがたの持ち味は半減する。(「イミテーションゴールド」は及第だが)あがた森魚のボーカル、「スーパーフライ」では風邪気味だし、
いかんせん制作時間が少なすぎたのかも知れない。アルバム中、「冒険者たち」やサンバのリズムが背景の「リオの男」はお気に入り。
必ずしも白井良明のプロデュースは成功しているとは言えない。それにしてもヌーベルバーグ以降良い映画音楽が存在しないということなのか
いかにもな曲ばかり集めすぎでは?あがた初心者の方は他のアルバムから入った方が良いと思う。あがたのプロパーの序数アルバムとは言い難い。
とは言え、デビュー40周年を迎え何度目かのプチブレイクが起こりつつある現在、出しておかなければならないアルバムだったのだろう。現在から考え
ると90年代は何度も発売延期があったものね。ジャケ、ブックレットが良いだけに残念。
あがた森魚 BOX
内容的には☆5つなのですが、仕様がちょっとセコすぎます。
ジャケットは2つ折り(裏は真っ白)で、オリジナル盤のブックレット類はいっさい再現されていません。3枚の歌詞をまとめて収載した16ページの冊子がついているだけです。
そしてそこに付されたライナーが、わずかに1000字という短さ! それなのに個人的な思い出などを書かれても……。
期待していただけに、残念です。
あがた森魚 ややデラックス [DVD]
あがた森魚といえば、今からン十年前にM大学学祭「ロック叛乱祭」に一人(ギター一本)で登場し、「ボク、ここの大学を中退しました」と歌う前に気弱そうに言った青年と同一人物なのですよね。この人が現在でも活躍しているわけです。なんて「強い人」なのでしょう。
この映画は、彼と同行したような気分にさせてくれる一種のロードムビーでもあります。客が多かったり少なかったり、いさかいやアクシデントがあったりツアーには大変なことがいっぱいありますが、彼に言わせれば「あっという間」の全国縦断ツアーなのですね。とてもフォーキーな映画です。
演奏曲数が多いからどうしても中途でカットしなければならないですがうまく処理していると思いました。訪問する各地方の風景も美しいです。
あがた森魚読本 (CDジャーナルムック)
あがたさんが歩んできた40年を色々な角度から押さえた読み応えたっぷりの本です。
あがたサウンドを支えてきた、矢野誠、久保田麻琴といった方々のインタビューを始め、書き下ろされたアルバム解説や、今までのインタビューなど、どこを読んでも、あがたワールドへの入口となっていると思えます。
あがた森魚ファンは、もちろん楽しめますが、よく知らない人にとっては、素晴らしい入門書になるのではないでしょうか?あがた森魚を過小評価されている方は、だまされたと思って読んでみてください。とくに、鈴木慶一さんの寄稿は、必見です。
あがた森魚とZIPANG BOYZ號の一夜 惑星漂流60周in東京 [DVD]
時代を適格にとらえた音楽活動。
もちろん3時間では表現できないが、その集大成として重要な映像。
ジャンルなんて関係ない、すべての音楽を愛する者なら体験すべき作品。
これこそ、レジェンド!