抱いてHOLD ON ME!
前シングル『サマーナイトタウン』がロング・ヒットを記録し、人気グループとなった「モーニング娘。」。3rd.シングルは初のチャート1位を獲得し、この曲で紅白歌合戦に初出場した。
歌謡曲的な歌いやすさとモダンなビートで、ちょっぴり背伸びした少女のラヴ・ストーリーを描いてみせる。特にラップ調の所で顕著な「意地っ張りな」性格は、ツイン・リードの1人:福田明日香をイメージした感じだ。
元々、「女シャ乱Q」を選ぶオーディションから生まれたグループなので、特に初期は、夜を思わせるセクシーで本格的な作風をしていた。福田明日香はグループ最年少ながら、工藤静香や相川七瀬の曲を、時に本物以上に歌いこなす実力派で、引退した現在でも復帰を望む隠れファンがたくさん居る。
本シリーズは『モーニング娘。EARLY SINGLE BOX』発売に際し、旧シングルにボーナス曲を追加し、リマスタリングしたもの。この3rd.シングルでは『モーニング刑事(コップ)。』に収録の「抱いてHOLD ON ME(セクシー・ロング・ヴァージョン)」が追加収録されている。
今のハッピーでノリノリの楽曲が好きな人には勧めないが、シャ乱Qの作風が好きな人なら、その「女ver.」として十分に聴けるはず。
サマーナイトタウン
モーニング娘。のセカンドシングルで、メンバーが8人になって初めてのシングルであるが、2期メンバーの保田・矢口・市井はバックコーラスのみで、彼女たちの声はほとんど入っていない。「サマーナイトタウン」は「シャ乱Qロックヴォーカリストオーディション」参加者だった彼女たちにとっては、ファーストシングルの「モーニングコーヒー」よりもずっとマッチしているノリの良い曲である。歌詞もずっと大人っぽくなっている。「A MEMORY OF SUMMER’98」はバッキングがストリングスのみのしっとりした曲であるが、この手の曲を歌いこなすのは、まだまだ彼女たちには難しいと思える曲である。
サマーナイトタウン
私もモー娘。の中で最高傑作だと思う。というより最期の歌謡曲と言える。
この後の『抱いて HOLD ON ME』と『MEMORY 青春の光』と合わせてマイナー調3部作とも言われてるらしいが、この『サマーナイトタウン』には及ばないと思う。
強いてこの曲に匹敵するとしたら安部なつみ『トウモロコシと空と風』といいたいところだが、こちらはややノスタルジー(カンバック森高)を感じさせる。
『サマーナイトタウン』の凄さは「何か変なかんじ」と歌われてるまさしくその音階の変なカンジなのだ。この音程あってるの?と聞きたくなるこの気が遠くなる感覚。
つんくは明らかにこの曲のこの部分の成功で以後の成功を導きだしている。
他の曲にもある、この気持ちいい違和感。
ただ、このグループ、ご存知のようにどんどん人が増え、スポットがいろんな人に当たり、
入れ替わりが激しくなると、全く歌謡曲の枠組みを外れてしまい、焦点がばらけてしまうのだ。この頃にいた福田や石黒が凄かったのか、後のメンバーがこの曲を歌った映像を見ても、
このシングルのヴァージョンは超えられない。1回性の凄みがこのヴァージョンにはある。
安部なつみもこの頃の2〜3年がピークだったのだろう。
『LOVEマシーン』以後は私にはCGが歌ってるようにしか見えない。
曲事態もひねりすぎていて、曲の体をなしていない。アイデアを詰め込みすぎなのだ。
この『サマーナイトタウン』と次作『抱いて HOLD ON ME』までの場末のキャバクラのショータイム感覚がかっこよかったのに、これ以後は高校生や中学生の組み体操みたいに感じるのは、私だけだろうか?
森高の活動休止と時期が丁度重なり合うこの1998年〜1999年。
確実に「歌謡曲」という「ポップミュージック」は終わったのだ。
ということは『LOVEマシーン』が日本の歌謡曲を壊したのかもしれない。
罪な男よ、つんくさんよ。
*ちなみにこの曲の編曲の前嶋康明氏は森高のライブの時のバンマスです。