ブエノスアイレス午前零時 (河出文庫―文芸コレクション)
世の中に「ハードボイルド」という言葉がある。
男が男らしく、強く、モテモテな感じの奴だ。
この本の文面、作者の他の作品から判断するに、「ハード」とは行かないが「ソフト」位に止めたと思われる。
表題どおりの「ブエノスアイレス午前零時」。有名な旅行小説「深夜特急」のような、旅が舞台と思わせておきながら、実は日本の雪国にあるしがない旅館の従業員と上品な耄碌ばあちゃんのお話。
他に収録されているのは「屋上」。これはそのまんまで、デパートの屋上にあるさびれたゲーセン従業員のお話。
上記二つに共通するのは、
「どこかエリート意識を持ちつつ、冷めた視点で世の中を眺める男の主人公がいること。」
「情景描写が多いこと」
であろう。
影を背負っている男のイメージから来るのか、斜に構えた印象。文章のほとんどが、人物の特徴だったり独特の比喩。集中して一時間位かけ、ガッと読み通してしまえば面白いかも。
メニューの曲選択画面は前夜か早朝か、
彼方のサンダーストーム、そぼ降る雨。
天気予報もよくなかったという。
でもオープニングは一転して快晴、
風の街シカゴの風景はさわやかだ。
よかったなあ、晴れ男がいるのかねえ。
流れているのはSonny LandrethのZydeco Shuffle。
4時間39分。
なかなか一気に見られる長さではないが
見てみるとDVDはフェスティヴァルの一部にすぎないのがわかって悔しくなる。
クラプトンとこのゲストだから、
音楽の傾向でいうとロックフェスではなくブルースフェスだ。
少しでも弾けるなら、ギターを持ち出して参加するといい。
あなたも"ソウル"を感じるかも知れない。
元気そうなクラプトンを見ると、
このチャリティーの意味を考える。
幅広い出演者を見ると
音楽家としてのクラプトンを考える。
なんと大きな役割を背負っているんだろう。
引き寄せてしまうのかな。
いや引き受けているんだな。
大した男だ。
オリジナルライナーにある、
クロスロード・センターからのメッセージ訳文あり。
解説は現地に出向いた和田玄。
クロスロード・ギター・フェスティヴァル 2010(フィギュア付きリミテッド・エディションDVD)
クロスロード・ギター・フェスティバル 2010(フィギュア付き リミテッド・エディション)のDVDが届いた。最近はいろんなものをネット購入しているがCD、DVDやPCの周辺機器や部品などネットを重宝している。
クロスロード・センター(ドラッグ、アルコール依存症更生診療施設)のためのチャリティ・コンサートでロック・ファンにとってはこのうえないメンバーのライブでエリック・クラプトン、ジェフ・ベック、スティーヴ・ウィンウッド、ロン・ウッド、B.B.キング、ジョン・メイヤー、デレク・トラックス他、ギターの名手が集結した夢のコンサートだ。
次から次へと繰り出す曲になんとすっきりすることだろうか。ロックに、バラードそしてブルースと聴きごたえ十分の約4時間半だった。
2007年のギター・フェスティバルにもまして60歳代半ばを迎えるエリック、ジェフの元気なプレーには脱帽である。このDVDを買うことによってすこしはチャリティに参加した気分になるのも不思議な気持ちだ・・・。繰り返し視聴することになるだろう。クロスロード・ギター・フェスティヴァル 2010(フィギュア付きリミテッド・エディションDVD)
オレンジ・アンド・タール (光文社文庫)
ファンになってすぐに、若林という人は「どろだんご日記」を閉じてしまっていて、
「K」などの名文に惹かれていた私は、ネットの網目の中を、アーカイブを懸命に探して読んだ。
そして、もう1度、この人が真剣に書いたものを読みたいと願っていた。
「どろだんご日記」には「オレンジ・アンド・タール」の書評がすでに載せてあり、
解説の中に出てくる、春日さんではない、もう一人のKがたびたび出てきた。
2010年の後半になって、少しあきらめかけていた。
すでに確たる成功を収めたオードリーの若林が、
今さら、あの頃のような文章は書けないし、また書く必要もないだろう、と。
彼にとっては、あの頃の苦悩や、死と隣り合わせの不安の答えは、
この成功した日々の中ですでに出ているのだと。
届いた本を読んで、驚いた。
「そうじゃない」と、まるで若林が言っているようだった。
「あの頃の俺は、俺の中にちゃんと居るんだ」と、
ファンの私や、あの頃隣にいた友達に、言っているようだった。
私は、この小説の中に出てくるような少年が大嫌いだった。ずっと。
田村のように嗤って、理解することを拒んできた。
多分そこが、私と若林との違いであり、
若林が今、ああやって、痛む足を日々こらえながら、
自分の思う道を歩けている理由なのだろう。
そして、彼の言うように、
この作品は彼にとっての道標なのだ、
多分、これからも。
武曲
武士道シックスティーンが女子部活小説の白眉と思った方、男子部はもっとすごいです!
陸上部を辞めた元スプリンターの高校生ラッパーと、父親との確執を引きずって生きている高校剣道部コーチの男が、古都鎌倉を舞台に、剣禅一致の境地に達した老師に導かれて、ともに成熟への道程を歩んでいく物語。
剣豪小説好きにはおなじみの殺人剣活人剣、剣禅一如といったサムライ時代の思想を、現代を舞台に描ききること比類ないと言っていいかも。歴史小説でおなじみの沢庵和尚と柳生宗矩、宮本武蔵あたりの話でいまいち腑に落ちずにいた感覚がわかっちゃうんです。
電車で読了したときには、思わず合掌していました。
今後、作者、藤沢周氏についていかねば。