泉鏡花 (ちくま日本文学全集)
泉鏡花独特の細やかで、薫るような文字使いが遺憾なく発揮された作品です。特に「雛がたり」は格別。満員電車の喧騒の中で読み進んでいたはずなのに、気がつくとそこは、霞がかった景色、萌えるような花のにおい…。鏡花の美しすぎる文章に、主人公とともに騒々しい世界から幽玄の世界にいざわなてしまったかのよう。突然現れた美しく怪しい雛たちは、主人公を、そして、彼を透した私をどこへいざなおうとしていたのだろう…もうあれから3年も経つけれど、けぶいた空気のその先にあるものを、時々思わずにいられません。
外科室・海城発電 他5篇 (岩波文庫)
私たちは、死をも恐れない男女の愛を、もっとも美しいものと考えて来た。純愛小説や映画のブームの喧騒が去った後で、貴女に「外科室」という短いお話と、静かに出会ってほしい。玉三郎が、映画化してくれたから、道はついているだろう。金剛石のような永久不変の愛の輝きを歌った詩が、ここにある。鏡花が、大好きになってくれるだろう。彼のすべての作品は、この輝きを核として生まれたのだから。極端?非常識?観念的?北斗星は、つねに愛の極北に光っている。
高野聖 (集英社文庫)
NHKのテレビ番組のJブンガクを見ています。
2010年の8月に 高野聖を紹介していたので読み直しました。
日の光を遮って昼もなお暗い大木が切々に1つ一つ蛭になって了(しま)うのに相違ないと,いや,全くの事で。
というくだりを
Each of the trees here, any of them big enough to block sun at midday, would crumble into small pieces, turning into even more leeches - just imagine that!
と訳していました。
へー,そういう意味なんだと
高野聖 の中身と英語の勉強になりました。
英語にしてみると高野聖 の良さと日本語の良さを再認識できることが分かりました