テロ爆弾の系譜―バクダン製造者の告白
わが国では稀有な存在の本である。テロ爆弾という言葉がタイトルにあるように、その根底に流れる基本的なテーマはテロに用いられる爆弾であり、特に筆者が関わったり興味をもった爆弾について、最初から最後まで、かなり一般的な言葉で記述されている。
読後感として、二つの大きなテーマがあるのではないかと感じた。
一つ目は、筆者の回顧とある意味での懺悔ではないかと思う。筆者の若かりし頃の風景と社会背景が顔をのぞかせ、その土壌があってこそ筆者が爆弾製造技術を会得できたのだ、という点は、本人にもいかんともしがたいことであるが、その中で特に爆弾に興味をもち、実際に作り成功したこと、それを本人の思惑とは違うところで利用されたかもしれないこと、そしてその結果がどうなるかということに当時は深くは思いをはせていなかったことなどが感じられた。換言すれば、筆者の心労ともとれる言葉が垣間見られる、ということである。
二点目は、筆者のテロ爆弾に対する個人的な思い入れと、テロ爆弾に対する周囲の無理解へのある種の侮蔑である。ロシアにおいて用いられた爆弾や大逆事件での爆弾についての調査は、「研究論文」でもないのに細かく調べようとしており、かなりのページを割いている。これは、筆者がテロ爆弾についての知識を持っていることの証明のほかに、いかにその思い入れがあったかをも示していると言えるのではないか。そして、事件当時に着目されなかった事実に対して、社会のありようにあまりにある方面に都合の良いように話されたり公表されたりしている”情報”に、筆者はかなり気分を害していたと思われる。本書後半で、自らの疑問を少しずつ晴らしていく描写も、筆者のテロ爆弾の何たるかを本人がどう考えていたかが感じられる部分である。
テロという行為が政治と密接なところに存在していることは周知の事実であると思う。爆弾が引き起こす結果は悲惨の一言であるが、この本はあくまでも筆者の回想録であり、現代の爆弾テロとは一線を画している。魅入られたものの回想録として読むのが適切であり、テロ爆弾の変遷について知ることを第一の目的として読むための本とするには、やや偏りがある。副題の通り「告白」本として手にとって貰いたい。特にテロや戦争という言葉自体を毛嫌いする”食わず嫌い”なタイプ、選挙で日本共産党に一票を投じようと考えたことのある過去を知らない若い人、こういった人に”苦しみながら”読んでもらいたい。
Microsoft Combat Flight Simulator 2
コンバットフライトシミュレータの続編です。第一作目はヨーロッパ戦線でしたが今回は太平洋戦線をその舞台としています。機体のディテールの細かさは前作を超えています。かなり柔軟な難易度変更機能があり、難易度を低めに設定すればフライトシミュレータが初心者の人でも十分遊べます。自機を無敵化することも可能ですので、練習などするときはこれは役立ちます。逆に高くすると水平飛行もおぼつかないほど高度な技術を要求されます。武装は機銃が主なものになりますので、射撃には少々練習が必要です。また弾道も頭にいれてなくてはいけません。慣れると相当鮮やかな敵機撃墜ができます。もうひとつ大きな特徴として、サードパーティの会社から機体全般・シーナリーを作成できるソフト、また標準でミッションを作成できるミッションビルダが付属しています。事実多くの追加機体がサードパーティまた個人から発表されています。インターネットで通信対戦も可能ですが、同時プレイ可能人数が少ないのが残念です。ゲームサーバを置いて、数十人~100人単位で同時プレイできればこれ以上望むことはありません。
たんていぶ THE DETECTIVE CLUB -廃部と絵画と爆弾と- (初回限定版)
■前巻に続いて「データ引き継ぎ」あり(そんなに大したことないと思いますが、前巻までをプレイ済みの方は一応しておいた方がよいかと)。
シナリオ…懲りずにシリーズ購入していた甲斐があったというか(w)、今回は素直に(今までで一番)良かった(面白かった)と思います。
趣向が違うというか、一味違う展開で今までで一番シリアスさもあり、同じく一番緊張感がありました。
謎解き等でプレイヤーが実際に関わる場面は多くはないとはいえ、日常会話(のテンポや掛け合い)も相変わらず良い(面白い)し、鋭太(主人公)と三ツ星アツシの絡みも相変わらずウケますねw
(システム含)ただ「捜査パート」で怪しい箇所を調べる(矢印を動かしてクリックする)のは相変わらず総当たり感があって作業的ですし、「探索(移動箇所選択)パート」時にセーブ出来ないのも改善されていないのはやや微妙かな。
キャラ…これはもう言わずもがなというか。
声優陣も豪華ですし、素晴らしいの一言。
ヒロインは皆個性があって可愛いし、男性キャラも魅力ありますね(約1名新キャラも登場し、いよいよ佳境へと向かっていきます)。
音楽…BGMは全体的には今までと同じくまぁまぁって所なんですが、今回からOPテーマが一新されてカッコよくなっています(映像もイイ)。
個人的には前のより一段と好きです。
因みにEDのBGMは今までと同じなんですが、各キャラの照れた表情or笑顔集が画で見られるので必見かもw
システム…一部前述しましたが相変わらずやや不便(不満)に感じる所も。
加えてインストールしないとロード(読み込み)は長めだし、そもそもインストールにかかる容量が大きいし。
オートモードは初期設定スピードがやや速いのも相変わらずですが、前と同じく速度変更可能なのでそれほど問題なし。
スキップの使い勝手は悪くはないといった程度(ややぎこちないかな)。
それ以外の基本設定コマンドは中々使い易いのも同じ。
ただ、改善された部分もあり、まず各種システムメニューを選択時に色々なキャラの一言ボイスが入ることがあるようになったのは○(マル)。
あと証拠品を提示する際バックログが見られるように(確か前巻までは出来なかったハズ)。
それから「おまけ」の「おまけエピソード」の内容がさらに充実された感はあるかな。
総評…4部作の第3巻ともあって、起承転結のまさに「転」を象徴しているような内容で展開が一段と面白くなってきた印象。
本編だけなら4時間あればクリア出来てしまうボリューム(コストパフォーマンス含)だけはどうしても残念ですが、来月の最終巻が中々楽しみに(早く"あの事件"の真相を知りたく)なってきました(こんなにワクワク感が湧いたのはシリーズでは初)。
ただ、シリーズものなのでやはり1,2巻と通してプレイしてきた方がより楽しめるので、この巻からプレイするのは個人的にはあまりオススメはしません。