フィギッシュ
「月食う虫」とはやや毛色が違って、どちらかと言うと漫画らしい漫画の短編集です。
初めてこの作家の漫画を読むならこっちのほうが読みやすいかもしれません。
もちろん完成度は非常に高く、かって損はないと思いますが
フリークス趣味や耽美な世界観においては、個人的には「月喰う蟲」のほうが上だと思います、
不思議庭園の魔物 (九竜COMICS)
読みきりばっかりですが、個人的にこれが一番大越さんの才能がわかる一冊だと思います。
「転生術綺譚」は戦時中、オカルトなど、大塚英二がモチーフとしそうなものがちりばめられていて、彼の原作マンガがそれなりに人気を誇っていることからも、十分連載出来ると思います。
また「人形姫」は、中世ヨーロッパをイメージさせるその物語のルーツ、サナトリウムという、一種人をひきつける要素からして、時代を超えた一大抒情詩のような連載が想像できます。
本当に美しく、魅力的な女性を描かれるので、一人でも多くの美を愛する人に読んでもらいたいです。
月喰ウ蟲
表題作「月喰ウ蟲」は特殊な殺人事件を扱ったサスペンスものとして
収録作品の中でも特に読み応えがあり、
エログロに興味や好奇心の無い人でも「嫌悪感」さえ無ければ読んで損は無いと思います。
大越孝太郎初期の作品群であり、現在のある種突き抜けた観のある
正視を躊躇う程のハードで禁忌的な世界と比較すると
まだまだ「おとなしい」部類であると思いますので、
大越孝太郎ワールドの入門書としてお薦めできます。
嫌悪感さえ無ければ、価格以上の価値がありますよ。