服従の心理
「服従」の心理を、とある実験を通して
検証、考察した本。
1974年に出版された本で、
社会心理学の本の中では有名な本なんだそうな。
--
実験は以下の要綱で行われた。
■実験場所
イェール大学相互作用研究室
■登場人物
1. 被験者 (民間人)
2. 実験者 (イェール大教授)
3. 学習者 (民間人)
■フロー概要
1. 実験者は記憶と学習に関する科学研究
と称して、被験者を集める。
2. 実験者は予め仕込んだ方法で、
被験者には先生役を演じてもらう。
(このため、集められた民間人は先生役
にしか成り得ない。)
3. 被験者と実験者は同室内、学習者のみ
別室で実験を受けてもらう。
4. 先生には生徒役に問題を出してもらう。
5. 生徒役の人が問題に誤った場合、
先生には電撃装置のボタンを押下し、
生徒役の人に電撃を与えてもらう。
6. 先生には、生徒役の人が一問、問題に誤る毎に
15V刻みで、電撃を強めてもらう。
7. 先生には、最大、450Vまでの電撃を
生徒役の人に与えてもらう。
8. 75V以降、電撃に対する生徒役の
リアクションが先生役に聞こえ始める。
(「痛くて死にそうだ!」、
「もうこれ以上、続けないぞ!」等)
9. 先生役が途中で電撃装置のボタン押下を
躊躇し出した場合、実験者は促しの言葉を
かける。
(「続けてもらわないと実験が成り立ちません。」
「他に選択の余地はないんです。
絶対に続けてください。」
「責任はあなたにはありません。」等)
--
この実験は、非作為に集められた被験者が、
イェール大学教授という権威に従い、
服従し、暴力的とも考えられる行為を実行するか?
ということを、検証する実験となる。
--
結果については本を読んでもらった方が
良いと思うので、さておき。
気になるのは。
もし、自分だったらどうしたか?
ということで。
正直なところ、
「責任はあなたにはありません」と
言われた時点で、8割くらいの確立で、
実験者の指示に従い、電撃を生徒役に
与えていただろう、と思った。
というよりも、それくらいの自分に対する
疑念を、自分の中に抱えていた方が
良いのだろうと思った。
--
後書きで、訳者が蛇足として作者の考察に
対するアンチテーゼを打ち出している。
的を得ているアンチテーゼで、この本は、
さらに良い本になっていると思えるくらいに。
これまた感心しきり。
--
ついでに。
『権威の命令を考えなしに受け入れる人は、
いまだ文明人と名乗ることはできない。』
という言葉が抜粋されていて。
うまいこと纏めたなぁと唸った。
--
物事を等身大で考えることは、
やはり大事なことだよねってことで。
良い本だった。
es[エス] [DVD]
心理学ではあまりにも有名な実験を映画化した作品。
倫理の無い実験の中で、急速に常軌を逸していく被験者達。
極限状態で暴走する人の狂気、欲求がグロテスクに描かれています。
緊迫感、恐怖、嫌悪感、見る側にも精神的にくるものがあるので、見るときには覚悟を決めて見たほうがいいです。
知っているようで知らない 法則のトリセツ
ビジネス新書によくあげられる「勉強法」「時間術」などにでてくる
法則をまとめた1冊です。
特に、分野を限定した法則ではありませんが、
ビジネスに応用できるものが多いです。
また、心理学など学術的な根拠もあり、信用できる法則です。
著者が生みだした法則ではなく、
最近出版されたものから名著とよばれているものから
幅広く法則がまとめられています。
読んだ感想は、たくさんの法則がでてくるので、
それを理解するための根拠を説明する分量が少なく、
少し疲れます。
1つの法則を図解で2ページに
まとめるような形式のバージョンも作ってほしいと思いました。
法則、名著など知識の上流へさかのぼるには、
上出来の1冊です。