大聖堂―果てしなき世界 (下) (ソフトバンク文庫)
キングスブリッジは商人の街としての尊厳を取り戻すことができた。
商人の仕事は取引だ。
たとえその相手が誰であっても正当な取引をするのだ。
そうして自分たちのほしいものを手に入れる。
30年あまりにわたる人生の最後はこの世で一番高いところへ上るための旅だった。
1,800ページを上回る旅は,饒舌と言うよりも芳醇な旅に思えた。
大聖堂―果てしなき世界 (上) (ソフトバンク文庫)
全世界でベストセラーになったケン・フォレットの小説「大聖堂」の続編「大聖堂─果てしなき世界」が出版されまして、私のブログのアクセス解析をチェックすると、「ケン・フォレット」「大聖堂」といった検索ワードで来ている方が毎日何人もおられます。
私も上・中・下巻全て買いましたが、何せ1冊が分厚いもので、空き時間を見つけては少しずつ読み進め、ようやく上巻を読み終えましたので紹介と感想を書くことにします。
舞台は前作からおよそ150年後のイギリスで、物語の中心地キングズブリッジも前作よりも一層繁栄を見せ、キングズブリッジ修道院も女子修道院が近くに建てられるなどといった繁栄ぶりです。
それでも何かしら問題を抱え、富める者もいれば貧しい者もいるのは世の常で、キングズブリッジの町も橋の老朽化などの問題で衰退の危機に立たされております。それらをどうにか打開しようと奔走する町の人たちを含む登場人物には、前作の主人公であるトムやジャックの子孫が何人も登場してまして、その中に今回の主人公の1人である建築職人マーティンがいるわけです。
一方修道院はと申しますと、修道士は生涯独身が原則ですから当然子孫などはおりませんが、前作のフィリップの業績が書き残されたり、何より大聖堂が健在です。こちらも財政問題や、修道生活の理想と現実の違いといった問題を抱えている上に、前作より規模・権威などの面で安定する代わりに保守的な雰囲気が支配するようになるのはどこの組織も変わらないようで。しかも、そうした現状を打破・改革しようと志し、苦労してトップに立っても、現実を目の当たりにすると結局前任者と同じように保守的になってしまうというのも良くある話で。
そんな問題は山積みどころか、次々と降ってくる中、マーティンたちが何を考え何を為すか、夢を叶えるか破滅するか、中巻以降の物語、果ては結末が気になって仕方ありません。
スティル・エコー~クラシカル・
16世紀のイタリア曲から現代の日本人作曲家の作品まで、古今東西の
あらゆるジャンルから「癒し」の作品を集めた珠玉の1枚です。
名前は知らなくとも「あ、この曲聴いたことある!」というものばかりです。
また、例えばピアノ曲だったものをアレンジして他の楽器で演奏するなど、
新しい試みをした作品も多く見られて新鮮です。
それに、何と言ってもアーティストがすごい!カウンターテナーのスラヴァ
から始まって、ギタリストの村治佳織、ボーイソプラノのボーイズ・エアー・
クワイア、ピアニストのフジ子ヘミングなどなど、贅沢な顔ぶれです。
素朴で懐かしい感じのする曲もあれば、キラキラした華やかな曲、心が
洗われるような美しい曲もあり、これ1枚で「癒しの音楽」を十二分に堪能
できるのではないかと思います。
大聖堂―果てしなき世界 (中) (ソフトバンク文庫)
中巻に入っていよいよ読むのを止められなくなってくる。だが、中巻の裏表紙の惹句はひどい。出版社の編集がネタバレではなあ。これで私は第4部を読み進める喜びを全て奪われてしまった。がっかりだ。(レビューのディレッタントさんの紹介も筋を全部バラしているので注意)(下巻の「主要登場人物」表も読まない方が吉) しかし、ぐいぐい読ませる力はさすが。前作から読み継いできたが、これはおもしろい。小説そのものは五つ☆なんだがな。