ユーズド・ソングス:ザ・ベスト・オブ1973-1980
バックが暗ーーーい
ドラマの筋とぴったりの
「トム・ウェイツの歌、しゃがれた低音のハスキーボイス」。
誰が歌ってんだろーって、録画したドラマの最後のテロップを、
一時停止にして、じっと眺めてやっと探し当てました。
この声は、じぃーンとしびれますーッ!
Small Change
ギターを用いず、ドラム、ベース、テナーサックスのみを率いた通算3枚目の作品。
しかしその伴奏も控えめで(ストリングスなどの装飾も少ない)
ピアノ弾き語りのみでほぼ成り立つ静かで美しい曲が並びます。
今作は特にトムのボーカルが堪能できる一枚だと思います。
これ以上無い程にしゃがれた声、まるで猟犬の様な唸り。
明らかに、歌い方に以前の二枚の作品とは違う変化が見られます。
しかしそれは重々しいものではなく、むしろ軽やかなフットワーク、
柔軟性を感じさせます。縦横無尽のトーキングスタイル、いかしてます。
その声にはじめは拒否反応が出る方もいるでしょうが、そこはグッと
堪えてほしいです。そうすれば、その裏に息づく壊れそうなほどに
繊細な優しさ、儚さを感じられるはずです。
「土曜日の夜」では華やかさの中に隠れがちだった「全てが過ぎ去った
後に、そっと寄り添ってくれるような」感覚が再び溢れている超名盤です。
ほろ酔い加減の真夜中に聴く、大人のための子守唄。