紫苑物語 (講談社文芸文庫)
日本の小説の中では、これほどの美文に出会ったことがない。個人的には、谷崎も三島もこれに及ばない。また、これほど読み返したい文学もあまりない。なんでこんなに魅力的なのか、とつくづく思う。
精神の運動。この作者は、精神の運動神経がいいんだろうか。私なんか怠け者なので、到底及ばない。すぐに分かることだが、漢字でなくてひらがなを駆使するところに、まずポイントがあるのだ。
元気の出ない時に読むといいかもしれない。「狂風記」「普賢」などもお勧め。この人の該博に触れたいなら、ちくまで出している「石川淳評論選」がある。
それにしても、「櫛風沐雨」という言葉がカッコイイ。
普賢・佳人 (講談社文芸文庫)
石川淳の芥川賞受賞となった「普賢」収録の講談社文芸文庫の作品集。石川淳といえば、文壇に於いて無視することは不可避なほどに影響力のあった人であるが、実際の彼の読者人口は少なく、未だこの作品を読んだことがないという人は多い。それは石川自身が「自分の読者は2000人」という発言からも伺える。とはいえ、間違いなく日本の文学史に名を残す名作であり、絶対に読まれることをお勧めする。
何といっても、初期のこの所謂「饒舌体」というのが、好きだ。濃密で長い文体であるが、それでも全体がだらけない彼の凄みが満ち溢れている。東西に通じた和漢洋の知識というのも、読めば尊敬の念さえ称えたくなるほどの素晴らしいもので、まさに「これこそが小説だろ」と言わんばかりに圧倒的な魅力だ。
本当に名作ですよ、これは。是非ともここから石川淳を読み、そして他の珠玉の作品群に大きく手を広げてみてください。きっと今まで体験したことのない読書体験があなたを待ってます。
INNOCENT VENUS [DVD]
この巻に出てくる元ファントム副指令、現海賊の頭「司馬虎二」この人が強い!そして身近かな女を「お竜」と呼ぶなど坂本竜馬を意識した人格作りがなされている。「サツマ」なる組織もあるらしいし、最近は幕末が流行っているのか…それはさておき今回も面白い!ファントムと丈、仁のグラディエイターが激突、物凄い装甲の硬さを見せつける。前巻より戦闘が重視されていてミリタリーファンにはたまらない。伏線も次々張られていき無駄がない作りだった。次巻も楽しみです
至福千年 (岩波文庫 緑 94-2)
中国文学者の高島俊男によれば、日本人は漢語を取り入れたことによって日本語としての成長にストップをかけてしまった。石川淳はあえて和語(やまとことば)を多用して、日本語の発音と意味の両面で表現の可能性を押し広げたと言えるでしょう。
もっとも、漢語が表現として貧しいわけではありません。おそらく日本人の舌が不器用なことと、日本語と中国語の違いがありすぎるのが、漢語の限界に作用しているのでしょう。
本作は幕末を舞台として選んだことで、上記の特徴を持つ表現として成立すると同時に、キリスト教をないまぜにしたインターナショナルな世界を作り出しました。
ただ、石川淳の作品には多く見られることだけど、何かしら「おどし」を効かせる文章表現には好き嫌いがあるとおもいます。下手すると「こけおどし」になってしまいます。
そういう「おどし」を効かせるキャラが多い中で、冬蛾は丸い雰囲気が漂って私の好むところです。
漢語よりやまとことば(ひらがな)を多用する作風が、石川淳が海外にあまり知られない原因かもしれません。
私立荒磯高等学校生徒会執行部II
トラック1・2ともに、原作のような二人の妖しいところが入っていて、かなり笑えます。『1問1答』を声優さんが言ってくださったらな、と思いました。「E・O」は、主に、石川英郎さんが唄っていて、サビが、森川智之さんが唄ってます。さわやかな感じの曲だと思います。