海底二万海里 (福音館古典童話シリーズ (11))
1974年の冬、街の小さな本屋さんで700ページもあるこの本を果たして読み通せるだろうか、という些かの不安を抱きながら買いました。
読解力の乏しかった当時、この本を面白く読めたのは、潜水艦という閉鎖的な空間の中で、人間同士が理解しようと務め、時には争い、赦し合う、民族を超えて共に生きる人間のドラマが描かれていることでした。
また、自然の驚異や猛威に翻弄される人間のかよわく、ちっぽけな存在。
読めば深いものをとらえることができるかもしれません。
闇の守り手〈3〉ナイトランナー1 (C・NOVELSファンタジア)
なかなか、面白くなってきた。
反逆の疑いで《赤の塔》の捕らえられたサージル。
彼に残された時間は二日。
アレクとマイカムは、サージルを陥れた人物を探し出すために奔走する。
陰謀の背後には、レラ派の陰が……
第一部、完結です。
正直ストーリーは、どこかから焼き回したような、昔どこかで読んだような、という感じが最後まで付きまとったんですが、それでも楽しく読めました。
サージルがどんどんへたれになっていく様子が見ていて楽しい。
サージルの胸の傷や夢の謎、アレク自身の謎など、まだわからないことだらけのこのシリーズ、第二部は今年5月から刊行だそうですので、ストーリーはそちらに期待。
20世紀の音楽遺産~軍歌(2)IMMORTAL WAR-TIME SONGS
超優良、とはまでは行きませんが、
優れた軍歌のCDであるといえると思います。
軍歌CDを買い始めて、3枚目、4枚目ぐらいで買うと良いです。
優れているわけは、「戦前録音と戦後録音」、「良質音源と劣悪音源」、
「有名曲とマイナー曲」がそれぞれ混交されて収録されているものの、
全体として優良な音源が多いからです。
特に優良な録音としては、
「日本海海戦」「橘中佐」「如何に強風」「艦船勤務」「陸軍士官学校校歌」。
すべて戦後録音ですが、原曲のイメージを損なわない、
優れた録音であるといえます。特に「陸軍士官学校校歌」は秀逸。
他にも「江田島健児の歌」は全番を歌い上げている点で評価できます。
逆に劣悪なものとしては、
「血潮と交えし」「上村将軍」「ブレドウ旅団の襲撃」。
曲名としてはマイナーであり、そこに収集家は引かれるかもしれませんが、
これらは元軍人のアカペラによる戦後録音です。
アカペラというと聞こえはいいかもしれませんが、
実際は聞くに堪えない素人の合唱に過ぎません。
どうしてこんなものが収録されているかというと、
昔キングがこのアカペラだけの軍歌集を出したのですが、
それがおそらく売れなかったので、ここに曲目をうめるために
出てきてしまった、というわけです。いわば不良債権ですね。
それ以外の曲は標準的なものです。
あと、「星落秋風五丈原」は、諸葛亮を題材にした土井晩翠の
かなり長い詩の一部に曲をつけたもの。
詩自体は難解な字句の連続ですが、
三国志がお好きな方は楽しめる曲です。