歌うネアンデルタール―音楽と言語から見るヒトの進化
言語の起源は、この分野の多くの人が興味を持っている気がするのですが、
この本では、言語に加えて音楽の起源を探究しようと試みています。
ネアンデルタールは、Hmmmmm(Holistic:全体的 multi-modal:多様式的 manipulative:操作的 musical:音楽的 mimetic:ミメシス的)という、
言語と音楽の両方の前駆体的なコミュニケーション手段を持っていた、と主張しています。
「全体的」というのは、一声で一つの意味をなして単語に分かれていないというような意味、
「多様式的」というのは、犬のほえ声がワンパターン(←駄洒落すみません)であるのより、もっと多様なパターンの発声、というような意味、
「操作的」というのは、聴き手を操作するというような意味(あっちいけ!とか)、
「音楽的」というのは、音程の上下やリズムがあって、また、ある音節が特定の事物を意味してはいない、というような意味、
「ミメシス的」というのは、模倣的というような意味、
のようです。
Hmmmmmを前駆として、現代人は新しく、事物を具体的に指し示す単語を持ち、単語の組合せルール(統語?)を持つ、言語を獲得したと。
言語は効率的な情報伝達手段として発達していったと。
一方で、音楽の中には今もHmmmmmのなごりがあって、感情の表出やIDL(Infant Directed Language)の際に有用な役割を果たしていると。
論証のかなり困難な、というか不可能な、音楽の起源に挑戦するということで、
根拠として集めた事例も、脳科学(失語や失音楽といった脳損傷の事例や、神経科学 etc)、
ヒトの行動学(育児の話、個人的な音楽体験etc)、現生霊長類の行動(チンパンジー、ベルベットモンキーetc)、
化石人類の骨格、人口遺物、など非常に多岐にわたっていて、
読みごたえがあります。(参考文献の数が約500!)
アナザー人類興亡史 -人間になれずに消滅した”傍系人類”の系譜- (知りたい!サイエンス)
著者は手馴れたサイエンスライターで内外の文献を幅広く読んで、人類進化の現代の考え方をわかりやすく解説している。今後、新たな化石や分子遺伝学的研究によって書き換えが起きるかもしれないが、現時点での理解を押さえておくには十分である。参考文献もしっかりしており、さらに勉強したい読者にも対応できる。内容も充実していて一貫性があり、高校生や学部学生でも面白く読めるtと思う。あえて難点を言うと、表紙のデザインがうるさいこと、タイトルの”アナザー人類”が不適当、1種だけではないので”アザー人類(s)”あるいはほかのタイトルにすべき。単数複数のない日本語に無理にanotherをいれる必要がない。
ベスト・オブ・10CC~ヒストリカル・ヴァージョン
10CCの本国イギリスでのヒット曲を集めた文字どおりのVERY BEST。全18曲中17曲がシングルヒットです。「パリの一夜」だけはシングル化されていませんが、クイーンの「ボヘミアン・ラプソディ」に半年先駆けてロックオペレッタに挑んだ曲として、今も語り継がれています。
またこのベストには、10CCから分裂したゴドレー&クリームの曲も「アンダー・ユア・サム」「ウェディング・ベルズ」「クライ」の3曲、加えて10CCの前身であるホットレッグスの全英2位ヒット「ネアンデルタール・マン」まで網羅されています。
今年2005年7月にメンバーのグレアム・グールドマンが来日公演を行いましたが、渋谷duoで演奏した17曲中の12曲がCDに収録されている曲でした。アーティスト本人にとってもベスト選曲になっていると言えるでしょう(他の曲は彼のソロ「ザ・グレアム・グールドマン・シング」等から)。
スタジオでの音作りの見事さが語られることの多い10CCですが、技術だけではなく、根底に楽曲のよさもあったと思います。歴史入門編として、ぜひお聴きください。
ネアンデルタール
ネアンデルタール人は我々のご先祖様ではありません。
70年代に言われていた、サルから猿人>原人>旧人>新人>ヒトという図式を
覚えている人にとっては面白い事実ではないだろうか?
ではネアンデルタール人(上で言うところの旧人)が生き残っていて、
自分たちと違う「人類」を形成していたら?という着想は面白い。
内容はアクションムービーでは有るが、人類の最新(といっても十年前だが)の
進化説に触れながら娯楽小説で時間を過ごすのも悪くはないだろう。で星三つ!