ジャポン
サォ・パウロ出身の日本人シンガー・ソングラター、小野リサの通算30作目となる記念すべき
アルバム(ベスト盤除く、ブラジル盤、スターバックス盤含む)と言うこともさることながら、
彼女自身日本語で歌いレコーディングすることは珍しくそんな観点からとても興味深い作品。
常日頃の流暢なポルトガル語、英語に慣れているリスナーにとってやや勝手違い感はあるけれど
一番感じるのは演奏を抑制させている事。
リサさんの作品はインストゥルメンタルも聴き所なんだけれど・・・。
「日本語の歌だからこそ歌詞を大切に」と彼女談。なるほど演奏部をややセーブし日本語の語義に
スポット・ライトを当てたサウンド・メイク、アレンジを心掛けたのだろう。
柔らかな歌声+演奏<柔らかな歌声+歌詞(語義)
下記のようにトリビュート企画盤でリサさんの既カバー録音曲も今回新たに再録しているので
その曲の聴き比べも愉しめるのではないだろか・・・。
曲目・オリジナル
01 黄昏のビギン【 1959 水原弘、1991 ちあきなおみ 】
02 オリビアを聴きながら【 1978 杏里 】
03 翼の折れた天使【 1985 中村あゆみ 】
04 今は、このまま【 2002 ビリー・バンバン 】
05 切手のないおくりもの【 1978 チューリップ、1977 ペギー葉山 】
06 遠くへ行きたい【 1962 ジェリー藤尾 1970 デューク・エイセス 】
07 いっそ セレナーデ【 1984 井上陽水、 2004トリビュート盤 小野リサ 】
08 あの日にかえりたい 【 1975 荒井由実、 2002トリビュート盤 小野リサ 】
09 異邦人【 1979 久保田早紀 】
10 コーヒー・ルンバ【 1958 ユゴ・ブアンコ、 1961 西田佐知子 】
11 マイ・エンジェル・マイ・ラブ【 オリジナル 】
12 見上げてごらん夜の星を【 1963 坂本九 】
決してボッサ・ノァバ・アレンジに強引にデフォルメさせていない所もちょっとした心配り・・・。
全12曲 約55分 今後、選曲にコンセプトを持たせた邦楽盤をも期待したい。
Lisa Ono 2007 SUNSET BOSSA-Tribute to Antonio Carlos Jobim- [DVD]
日比谷野外音楽堂で行われたジョビン親子とのライブ。
夏の夕暮れどきの心地よい風を感じることができる好ライブです。
ホームパーティーでBGM代わりかけて楽しむもよし、
夜にお酒片手に見てもよし、
リラックスできること間違いなしです。
PEACE BOSSA [DVD]
どちらかと言うと小野リサさんよりも中野裕之氏の映像が主体というべき作品。
雄大なブラジルの景観を漫然と撮るのではなく、動と静、陰と陽の巧みな捉え方が光ります。
ある時は陽気でスピード感溢れる映像、またある時は南国特有の時間が止まったかのようなまどろみの映像。
これらの素晴らしい映像に小野リサさんのやさしい歌声が重なったとき、輝きが何倍にも増すのです。
日没間近の時間、夕陽が映り込む鏡面のような川を、滑るように一艘のボートが走っていく。
息を飲むほど美しい時間、美しい光景、美しい音楽、美しい声・・・。
この作品は何度観ても飽きることがありません。
小野リサ フェリシダージ
リオ・デ・ジャネイロの街並と人々、そして小野リサさんの写真が満載の小さく可愛い本。いかにも彼女らしいエッセーと、レシピー、そして"星の散歩"をはじめとして楽譜がいくつか。本の裏表紙にある、ヴィニシウス・モラエスの詩が印象的。
COMPLETE BEST
なごやか、穏やか、安らか、たおやか、温和、柔和、親和、穏和
世の中に存在するそんな形容を総て小野リサさんと彼女の音楽に送りたい。
ブラジル生まれブラジル育ちならではのその空気感と流暢なポルトガル語から来るものか、
小野リサさんの魅力はその包み込むような優しい歌声 !
この20年間に随分多くのオリジナルアルバム(26枚+α)をリリース。
俺、調べで約400曲程レコーディングされている。
当ベストアルバムには総楽曲の約1割にあたる選りすぐりの曲が、CDの発売年順に選曲されていて
小野リサさんマニアの方にも初めての方にも値打ちはあるなっ。
聞き込むと云うよりは自室、車、オフィス、或いはお店でひねもす BGM 的に
流すのもセンスがいいね。
余談
先日、リオ在住のブラジルの方と懇談する場があり
かねがね気になっていた小野リサさんのブラジルでの知名度を訊いて見た。
音楽にも造詣が深い方でMPBの状況を色々と教えて貰えた。
そして『もちろんリサはブラジルではボサ・ノーヴァのプリンセスだよ !』との事でした。良かった。