天国―安部慎一作品集
数々の傑作と才能を発掘した雑誌「ガロ」。
この巻の作品は、主に「ガロ」に掲載されたものです。
確かに「ガロ」以外でこれらの作品を掲載するのはなかなか難しいのではないかと思います。
逆に「ガロ」だからこそ、この感性を受け止めることができたのであろうと想像しています。
作家と読者というのは作品が生み出される上で絶対的な条件です。
「ガロ」は、作家の新しい才能と感性を探り出し、受け止めるある意味厳選された読者を有していたと思うのです。
「ガロ」読者が見つけた宝物が、安部慎一さんなのでしょう。
読み手のことよりも、自分自身の内側にあるものを吐き出すような感覚の作品です。
絵のコマづかいが独特の感性があって、省略されたコマとコマを想像させられます。
何とも言えない感覚を覚える漫画です。
病み付きになりますよ。
僕はサラ金の星です!―安部慎一最震作品集
根本敬さんが装丁を務め大絶賛している本です。その「僕はサラ金の星
です!」は不気味な作品に仕上がっており、登場人物の行動がほぼ理解
できません。所々会話がかみ合ってなかったり絵も他の安部作品と違っ
て女性の体型が変だったりでこんなにぶっ飛んだ漫画が読める事に幸せ
を感じました。
作者自身、これを描いた当時は宗教に染まっていて頭がおかしかったと
言います。
それ以外の作品の中にもそれに通じたものはありますが、切ない「除夜」
や「結婚物語」のようなホンワカとした心が温まる作品も多数あり、とて
も大好きな一冊です。
美代子阿佐ヶ谷気分 [DVD]
映画館では観そびれたので、このDVDで初鑑賞させてもらいました。
主演の水橋研二さん、町田マリーさんの全裸も厭わない体当たり演技が素晴らしく、その頃の「同棲生活」を実感出来、撮影に関しても今の時代に70年代の雰囲気が忠実に再現されていて、あの頃の退廃的な雰囲気を十分に味わう事が出来ました。
特典として、原作者の安部慎一さんのインタビューと町田マリーさんのデジタル写真集が有り、解説リーフレットも付いていて、より深く作品の世界に浸る事が出来ました。主演の二人のインタビューやメイキング映像が無かったのだけが残念です。