人生逆戻りツアー
京都駅のキオスクでふと目にとまったこの本を買い、東京駅までの間に読み終えました。今たどってるつまらない人生とは違い、本当は自分には何かが、本来の魂の計画としてあったはずだ、途中、何度だってサインがあったはずなのに自分は無視して通り過ぎてしまった、というのは、トウのたった大人にも時折よぎる考えなので、読みながら時々涙してしまいました。
著者は、ここで、好きなことかつ人の役立つことに目覚めた人たちの年齢を、子育てを終えた世代に置くことで、たまにこの種の本にある葛藤を回避していて、賢いです。
でも、気をつけたいのは、好きなことを仕事にしなければならない、好きなことで人の役に立たないといけない、好きな仕事で生計をたてなければならない、ということを信じすぎると自分を苦しめるということです。
また、本当に、自分も、まわりの世界もすべて創造主の一部なら、特殊な、絵を描く才能などでなくても、もっと日常的なことに、つねに驚きと喜びを感じることが出来るはずです。例えば、毎朝昇る朝日の気持ちよさ、小さい子の笑顔、夏に向かって茂る草木、心をこめた料理をいただくとき、など。
本当は、主人公のつまらない仕事として書かれるスーパーマーケットの店舗勤務というのは、工夫しだいで面白くなる仕事です。絵だって、休日に書き始めることは出来たはずです。税官吏だった画家アンリ・ルソーのように。
なので、自分への自戒もこめて考えると、こういう本に影響されていてもたってもいられなくなったとしても、好きなことで絶対に人の役にたとうとか、生計をたてようといった欲を出し過ぎずに、好きなことを、ただとにかく始めるのがいいように思われます。
そんな私みたいなあなたには、ジュリア・キャメロン「ずっとやりたかったことを、やりなさい」を、すぐはじめられる実践的かつ強力な方法を述べた本として、あわせて読むことをおすすめします。
「また、必ず会おう」と誰もが言った。
渋滞で帰りの飛行機に乗り遅れた主人公が様々な人に出会い、
助けられながら成長していく単純明快な青春物語です。
ストーリーに特に引っ掛りがないので、1時間半くらいで、
サクサク、すらすら読めました。
物語は面白く、展開も速い。素直な主人公にも好感が持てます。
著者は塾講師だけに、読者を中学生か高校1年生くらいに
設定して書いているのでしょうか。
ただ、読んでいて一つ気になったのは、物語に悪人がただの
一人も出てこないこと、出会う人がすべて善人なこと。これ
にはやはり、違和感を感じます。人は善人によって助けられる
ことは確かですが、現実の世界では悪人とか弱者を見て学ぶ
ことも非常に多い。世間は反面教師のほうが圧倒的に多いです。
世の中、こんな人ばかりだと本当に助かりますが、それはまず
ありえないので星三つです。
ずっとやりたかったことを、やりなさい。
この本の原題は"The Artist's Way"。心の中にア-ティストが住んでいる人のための本です。そして実は誰でも自分の人生の創造者であるので、誰の心にもア-ティストは住んでいます。この本の特別なところは、よくあるセルフヘルプの本と違って、具体的に12週間のプログラムをすすめていきながら、自分の中の創造性を現実的に育てていくことができるようになっていることです。ライタ-なら誰でも経験したことのある、「書けない」状態への分析も的確。「ほかの人よりも優れた存在になりたい」という欲望が、「自分自身を表現する」というア-ティストの本質を押し殺してしまう、という記述は、芽が出る前のア-ティストには大きな励ましです。