漱石事件簿 (新潮コミック)
これは、夏目漱石・森鴎外・江戸川乱歩・南方熊楠ら明治時代の文豪、著名人総登場の劇画タッチの漫画。
残っている資料から言動を再現し、この人たちの知られざるエピソードや当時の時代背景などを交えた、現実と創作の中間のような独特な作風は読み応えあり。
私たちが抱いている人物像を覆すような意外さ。大文豪とて生身の人間であり、結局は時代の波に飲み込まれていってしまったのだろうかと思わせられる。
ちょっとおどろおどろしい場面もあるが、今の高校野球のような喧騒のない、夏の日のけだるい午後の熱い風に吹かれているような、明治大正の情緒溢れる雰囲気が印象的。
本書の原作執筆がたまたま昭和最後の頃、というのが意味深です。