夜逃げ屋本舗 [DVD]
多重債務者のひきこもごもを正面から描いたドラマからの派生作。
本作では金利については取りあげられないが、このシリーズが過払い問題へ与えた影響が少なくない。
本作で登場する 「かさない優しさ」 について、闇金融の問題もあって、業界団体による基準作成は遅々として進まず、無力に等しかった。
国会もグレーゾーン金利を解決しようとはしたものの、業界の圧力や国会の事情などによって進まず、結局は裁判所の良心からなる鶴の一声によって違法性が明確化された。
「かさない優しさ」 が、のちに国会によって年収制限という形で立法化されている。
かりる個人対、野放図にかす利益法人、そこに 「夜逃げ屋」 という別の利益法人を主役として挿入してしまう奇抜さが見どころ。
これを、数百兆円かりまくっている行政と、かす銀行 (国民の預貯金) と、低金利へ誘導する日銀に当てはめて見てもおもしろいかもしれない。
個人向け国債は人気が少ないというが、その不人気が行政へどれほど伝わっているのか。
大夜逃-夜逃げ屋本舗3- [DVD]
三作目のテーマで遂に破産制度手続きの盲点と連帯保証人制度を逆手に取った古代ローマで実在した債務奴隷制度(拘禁して強制労働とピンハネで完済するまで払わせる制度。現行法ではもちろん違法で犯罪)に到達するに至った。着眼点が流石。貸金問題で高名な弁護士さんが法律監修をずっとやっておられるのですがちょっと発想が凄い。演出とシナリオも良い。本作品では完全に囲まれた違法拘禁施設からの「逃げる」行為の発想と自己破産者おのおのを嵌める手口がリアルですね。悪い奴程、法律熟知して甘言で忍び寄る。社会勉強のお手本に出来そうです。
前二作ほどの面白さはありませんがきっちり面白いのでファンの人はご安心を。
星3つ