はぐれ刑事 [DVD]
はぐれ刑事と聞くと藤田まことの純情派が思い浮かぶが、同じ人情刑事でも、こちらは平幹二朗。全く作品イメージが違う上、スコッチ刑事の原型のような影山刑事(沖雅也)が登場する。第1話で影山の誤射した弾丸を胸に受けた刑事は、新人の影山を庇って弾丸摘出を拒み続ける。その弾丸が遂に右胸を潰したことを知った影山は、自分の弾丸であることを知り、辞表を提出する。胸の弾痕が悪化して死ぬのかと思いきや、最終回を前にして弾丸は摘出される。最終回で、友人のために殺人を犯した身内を逮捕することとなった影山は、刑事として成長を遂げたが、半狂乱となった友人(市毛良枝)に逆に撃たれてしまう。早朝の浅草演芸ホール前で、なぜ撃った・・・死にたくない・・・と言って息を引き取るシーンは必見。太陽にほえろ!のスコッチ病死のシーンの原型が見え隠れするドラマである。
はぐれ刑事純情派 主題歌セレクション
数原晋のトランペットが印象的な、番組テーマ収録もGOOD。「はぐれ刑事」主題歌の、主役:藤田まこと によるカヴァー集です。役者としても一流ですが、歌も非常に上手いことで知られる人で、「はぐれ刑事・純情派」でも、潜入捜査などで、自慢の「歌」を披露する話があります。鍛え上げられたノドは、70歳を過ぎても健在。渋い低音から、高らかなテノールまで、十分な声量で歌い上げます。
オリジナルの堀内孝雄は、哀愁を帯びた高音と、多少の「くどさ」で(笑)、番組の顔でしたが、藤田まこと の歌唱は、もっと正統派で舞台劇的ですね。デュエット曲(2曲)でパートナーを務めるのは EMIKO =娘さんだそうです。控えめに、父の晴れ姿をサポートします。
「ガキの頃のように」は朗々とした低音で、「都会の天使たち」は意外なほどの高音で、聴かせます。低音部は普段の役者の時の声と同じなのですが、思った以上に出る高音部は、一聴くして本人の声とは気付かないほど。素晴らしいんですよ、これが。父から「歌も上手い」人だとは聞いていたのですが、想像以上でした。クセがない分、最近の堀内孝雄より、ボクはこっちの方が好きかも。
はぐれ刑事純情派 主題歌ベスト
ロックから歌謡曲、演歌の世界へ入ってきて、こうも心に響く曲を作ることができるのは天賦の才と血の滲むような努力の賜物でしょう。
どの曲も重みがあって、かつ馴染みやすい。そこへ堀内さんの声がしみじみと感じさせてくれます。お酒を飲みながら、自分の一番好きな風景を眺めながら、そういう風に聴いてほしい名盤です。