棟居刑事の一千万人の完全犯罪 (祥伝社文庫)
三年ぶりくらいに森村作品を読みました。やっぱり面白い!
主人公である兵藤の設定から、生かし屋の背後にある謎が、事件を解決しながら明らかになっていく展開、今ドキな設定と夢中にさせられる要素だらけでした。ミステリーはもちろんアクションあり、ラブストーリーあり、メッセージの重さに対するコントラストのせいかつい笑顔になってしまうラストなどの盛り沢山の内容となっています。オススメです。
人間の証明 (角川文庫)
この本を初めて読んだのは小学生の頃だ。父の書棚にある本を適当に選びだし貪るように読んでいたとき、手に取った。最近、懐かしさに購入し読んでみた。同じところで涙が出るのが不思議だった。
「母さん 僕のあの帽子 どうしたでせうね ええ 夏碓井から霧積へ行くみちで 渓谷へ落としたあの麦稈帽子ですよ」
親子の美しい想い出を描いた詩が、あの小学生の頃から不吉で哀しい響きを持っている。
人は幸福を求めて生きている。それが行き過ぎると―あまりにも自分独りの幸せを求めると何かを犠牲にしてしまう。よくできたものだ。
犯人は現在の幸せに固執した。被害者は犯人の幸福を損なうつもりなどなかった。ただ一つの願い「会いたい」というささやかな幸福を求めただけだった。
犯人の人間臭さもさることながら、追う側の刑事たちもドラマティックである。棟居刑事はある事件で家族を奪われ大きな喪失感を常に抱いている。やり場のない衝動を捜査にかたむける様は痛ましいほどだ。
追う刑事達の汗も犯人の焦燥も被害者の涙も、このような時代だからこそ輝かしい。こんな『人間性』は今となってはノスタルジックに語られるだけでしかないとは寂しい。この物語を読んで泣けるということは『人間の証明』なのではなかろうか。
若い二人の、愛を叫んだ物語は二人の世界の話である。この話は世界の一部、都会の片隅で起こった愛の破綻の物語である。近視眼的一人称的に愛を語るのは容易だが、この世は個人だけで動いていない。それゆえの悲劇が本書の殺人事件なのだと思う。甘く切ない閉ざされた世界から一歩踏み出して本書をおすすめしたい。
それにしても西条八十の詩は「かなりや」といいこの詩といい、柔らかいナイフのように心に突き刺さり、じんわりと溶け込んでくる。切ない。
信州戸隠そば 本十割生そば(小) (十割生そば110g×3 ストレートつゆ50ml×3) 約3人前 [商品番号ホ-小]
ソバの香りがふわっと鼻に抜けるおいしいソバでした。ただし、食感は少しモソモソ感があります。本来のソバ粉100%の打ちたて茹でたてのソバならば口の中でふわっと溶ける、という感じになるのでしょうが、半生に乾燥しても香りが飛んだり茹でた時にソバが切れ切れにならないよう、特殊加工された新製法のそば粉を使っているとかで、そこはやむをえないところなのかもしれません。あるいは、説明書の指示よりも茹で時間や・蒸らし時間を長くしたり、乾麺と同様、茹でる前に5分ほど水に浸けたりするといいのかもしれません。なにはともあれ、十割そばの乾麺よりはずっとおいしく、値段も手頃で、保存もある程度は可能なようなので、これから茹で方等をいろいろ研究しつつ長く愛用しようかと思っているところです。
人間の証明 DVD-BOX
「白い巨塔」に次ぐ名作リメイクを狙ったのでしょうけど、視聴率的には及ばなかったですね。前半は、役者さんの魅力をたっぷりと見せ、物語の世界観が丁寧に描かれ、本当に期待させられるものでした。・・・・が、思いのほか数字が振るわなかったために放映回数を短くしたのですか?(全10話でした)と思えるほど、最終回などはばたばたっと雑な感じで惜しかったです。なんだかラストで途端に説明口調になる小説を読まされている気分になってしまいました。
それにしても、よくもまあ、若手からベテランまで、こんなにすてきな役者さんを集めたなあ、と思います。捜査側では竹野内豊さんをサポートする緒形拳さん、頑なな竹野内さんの心をときほどいていく好対照な大杉漣さん、被害者側では夫と愛人なのに徐々に連帯感を強めていく國村隼さんと風間杜夫さん、存在感のある松坂慶子さん・・・といい役者さんばかり。単発で出演した役者さんも豪華でした。中堅、若手の役者さんも実力派、将来性豊かな新人さんが揃ってました。そして何より驚いたのは、竹野内さん。彼がこんなに奥行きのある演技をする人だとは知りませんでした。どうしてこれまで彼のよさに気づかなかったのかしら?と思うほど。それだけ本作での役柄が魅力を引き出したのでしょうね。彼だったら、あれもできる、これもできる、・・・・と、いろいろな小説の主人公を思い描いてしまうほど、頼もしさと幅の広さを感じさせられました。
それだけになおのこと、前述した終盤での物語運びの雑さが残念でなりませんでした。
超高層ホテル殺人事件 [VHS]
森村誠一原作の同名小説の映画化。ただ内容は本格ミステリーというより犯人側のラブストーリー。近藤正臣と由美かおるの悲恋物語となっているがホテルでの落下殺人、飛行機を使ってのアリバイ作りは残されている。由美かおるといえば彼女の二十代の若々しいヌードが拝める。