ミュージックファイルシリーズ/MFコンピレーション 超空想リングサイド~格闘チャンピオン・マッチ~
ミュージックファイルシリーズを展開している高島氏による、同シリーズの一枚。
高島氏及び不破氏の両名による、詳細なデータに裏付けされたブックレットの解説は読み応え抜群。
ブックレットの解説やライナーノーツが充実していることは、CDを購入するための大きな動機付けに一役買っているように思えてならない。
また、本盤には、水木一郎、MoJo、木村昇らのレアナンバーが収録されており、ファンにとっては見逃せないポイントだろう。
ミッドナイト・ミートトレイン 真夜中の人肉列車 血の本(1) (血の本) (集英社文庫)
表紙イラストが「カモ〜ン」と呼ばわるのでフラフラと購入してから幾星霜。2008年に映画化された表題作ではなく『丘に、町が』が強烈に印象に残っています。舞台は旧ユーゴスラビア、(ネタバレご注意)何万人もの人間の寄せ集めで出来上がった巨人、その発狂…なんと予言的な。後年、ユーゴスラビアでまさにコレと同じことが勃発したではないですか。クライブ・バーカーはチャンネリング状態で本作を書いたのか!?私は『ミッドナイト』よりもこちらの「ファシズム寓話」というか「戦争寓話」の短編を是非とも映画化して欲しかったです。まあ色んな読み方が出来る短編です。怪奇イラストを描きながら成長した孤独を愛する奇想に満ちた少年には、周囲の圧倒的多数の人間がこのように見えた、とかとか。ちなみに、平野啓一郎氏の『日蝕』に巨人の幻影だかが登場しますが、クライブ・バーカーが幻視した巨人の迫力の足元にも及びませんぜ。
他作品も、展開がスピーディで長ったらしい描写もなく、エンタメの精神(「客を退屈させるのは罪である」という)に貫かれたストーリーテリングに仕上がっています。しかし作者さん、当時はインテリっぽいピカピカの美青年作家だったものが、今ではシャガレ声の不良ジジになってたりします。スバラシイ。