仔犬のワルツ DVD-BOX
サスペンス、ドロドロした骨肉の争い、漫画チックなピアノバトルと内容てんこ盛りのドラマですが、
全編通してテーマにブレがないので重厚な人間ドラマになっています。
やっぱりなっちは天使(堕天使にも自らなるけど)で、最後は悪魔にも愛を与えます。
終わり方賛否両論あるようですが、最後になっちが天使として愛を与えるからハッピーエンドなんだと自分は思っています。
なっちは全て解っていて、それを受け入れた上でのエンディング言葉は重いです。
サスペンス部分が非常に気になる作品ですので、DVDBOXの特典映像は必須です。
ショパン:ワルツ集
とにかく面白い。まず、カツァリス自身が存分に楽しんで弾いているのが目に浮かぶよう。
それも安っぽい指のサーカスというものではなく、究極の技巧を凝らしてショパンの音楽に埋もれている新たな側面を引き出しながらそれでもショパンの世界から逸脱しないという、ウルトラハイレベルの楽しみ方だ。
元々ショパンがバッハを敬愛してやまなかった事は有名だが、まさにバッハ的対位法がショパンの曲の中に盛り込まれたような演奏だ。
これはアレンジではなく、立派な解釈であると感じる。
特に9番は面白い。俗にう別れのワルツだが、複数ある自筆譜やフォンタナ版のおかげで楽譜の種類がやたら多い上に、版によって楽譜自体が大きく違っている曲なのだが、カツァリスはなんと楽譜にない繰り返しを行い、繰り返すたびに違う版を組み合わせて弾いている。
逆に学習者にこそ、他の数種類の演奏と比べる形で聴いてほしいと感じる。左手に隠されたフレーズを知ることは実際に真似して弾く事は無理でも、ショパンの音楽の理解に大きく役立つことだろう。
一般のリスナーにとっては鬼門であろう。少なくとも2〜3人以上の演奏者のワルツを聴き込んでいる人ならともかく、そうでない人には違和感を覚えたりアレンジものとしてか受け取れないかもしれない。