ベルサイユのばら 6 [DVD]
出崎氏が演出を担当するようになったのはこの巻よりも前だが、アニメ版の評価を二分させてしまった路線
変更はこの巻からが顕著。止め画や透過光の多用以外にも、少女マンガ的な要素を排し、劇画的な
要素、リアリティをもたせようという出崎氏の意図のもと、手始めというか、まずはアンドレのキャラ設定がか
なり変わってしまった。原作においてはアンドレのキャラが深く掘り下げられたのは後半になってからなので、
該当する時期の原作との相違はかなり違う。
アニメ版のほうは、貴族に飼われた平民であるという自分の立場を強く意識し(この点は実写の映画版も
同じ)、それにオスカルへの想いとが絡み合い、自分の気持ちを誰にも言えないジレンマを抱え、そのため、
より寡黙で自分の意思を抑えた存在になっている。
キャラが変わったので、当然のことながら彼とオスカルの関係も(原作ほどの一体感が失せ)違っている。端
的なのは、オスカルがアンドレを黒い騎士だと疑ってしまう点。原作ではちょっとありえない設定。また、ベル
ナールを助けようと言い出すのもアンドレからだし。
ともあれ、この巻で気に入っているシーン。
・29話で、投げつけられたナイフをつかみ、衛兵隊の兵士のベルトのバックルにナイフを突き刺すときのオスカル
の表情はとてもカッコイイ。
・(これは有名なシーン)30話で、襲撃されたジャルジェ将軍が無事と聞いて、安心して泣いて座りこんでしま
うオスカルと、彼女にハンカチを差し出すアンドレ。そして彼にありがとうというオスカル。
TMS DVD COLLECTION ベルサイユのばら 3
原作漫画と違い、オスカルを主人公として
中心に描いているので、原作ファンには違和感も
あるかもしれませんが、作画レベル、声優陣の
熱演と、本当に歴史に残る名作です。
諸事情で、後半からアニメ監督が出崎さんに交代
されたんですが、長浜さんの演出も少女漫画らしさが
とても端正で上品ですよ。
「ボルテスV」を手がけた方だけあって、
プリンスハイネルとか大好きだった人にもお勧め。
ベルサイユのばら 7 [DVD]
気に入っているシーンは、アランの家に行ったとき、同じアパートに住
んでいるおばさんにイヤミを言われ、アンドレと顔を見合わす際のオス
カルの表情。
ここらへんの時期に関しては、もちっといろいろエピソードをいれて話
を膨らませて欲しかった。
女帝エカテリーナ (1) (中公文庫―コミック版)
帝政ロシア時代の女帝、エカテリーナ二世の生涯を追ったドラマです。
ロシアの血を一滴も持たないドイツの田舎貴族の娘…それが、幼少時のエカテリーナ。
そんな彼女が野心に燃え、ロシア皇太子の妃となります。
野心に満ち、数奇な愛に翻弄された人生。
為政者としての並外れた器量と、理想と現実とのギャップ、老いによる精神及び肉体の変容…。
ここには、彼女の全てが描かれています。
ありきたりの「偉人伝」ではありません。
世界史で習うような姿はどこにもありません。
どこまでも生々しく、赤裸々に一人の人間としてエカテリーナ二世は描かれています。
この作品の中で、生き、悩み、そして死んでいきます。
エルミタージュ美術館を創立し、国の母と崇められたエカテリーナ二世。
そして、晩年「ピンクの色眼鏡をつけている」と揶揄された女帝。
野心、夢、失望、出会い、別れ…一人の人間の一生を追体験する、壮大なドラマです。
気軽には読めません。
圧倒的な存在感と、パワーが溢れてきますので、どうしても頭も心もエカテリーナでいっぱいになってしまいます。
どうぞ、じっくり腰を据えて読んでみて下さい。