LIVE FOREVER [DVD]
90年代でイギリスが最も輝いていた94年から97年までを中心に描かれています。
ちょうどこの時期にイギリスにいたので、この時期のムードは忠実に描かれていると納得してます。
95年のオアシス対ブラーの熱狂振りはすごいものがありました。8月のシングル同時発売では結局ブラーが勝ちましたが、個人的にはブラーのほうが1ポンド安かったのが効いたのではとも感じます。日本ではブラーの人気はオアシスほどではなかったようですが、イギリスでは男(特に学生)の支持がかなりありました。なんでも前作のパークライフの歌詞は相当に刺さったようです。
この時期は他にもパルプが大爆発し、レディオヘッドやスーパーグラスなど音楽的には自信に満ち溢れていました。
サッカーではマンチェスターUのカントナが観客に蹴りを入れて引退に追い込まれるという事件もありましたが、プレミアリーグも輝いており、映画も「フォーウェディング~」や「トレインスポッティング」など絶好調でした。(そういえばMr.ビーンってのも盛り上がってました)
イギリス中が大きな変革のエネルギーに満ちていて、労働党の政権奪取でそのピークを迎えるのですが、ダイアナ妃の死あたりからその勢いが失速するというのは、はじめて知りました。
この時期のイギリスに興味のない人はこれを見ても楽しくないと思えるのですが、ひとつの国で起こった栄枯盛衰の切ない物語としては抜群の作りです。
ファーザー・コンプリケーションズ
2年半ぶり本作はスティーヴ・アルヴィニに協力を仰ぎ、硬質な米国インディー・バンドみたいな面もあるがそう単純でもない。人生なかなか難儀で複雑でうまくいかんよなとつぶやきながら、攻撃的になったり弱気になったり。だんだん引き込まれそうな味わい深いソロ第2弾。
ブリットポップが隆盛を極めた時代、一瞬の煌き。
映画はその中心にいたパルプ、プライマルスクリーム、オアシス、ブラー、
OASISのコピーバンド、音楽業界人へのインタビューで構成されたドキュメンタリーです。
栄枯盛衰という言葉がこれ程体現されているものはそう無いと思います。
一気にスターダムにのし上がったOASISとBlur。
本人達と離れたところで話題作りのために仕組まれたような確執、
リリース時期を合わせての直接対決。
業界的タブーという意味合いにおいては言えば、
日本ならキンキキッズとB'ZとMr.Childrenの新譜の発売日を
同時にして戦わせるくらい恐れ多い事だと思っても良いのでは無いでしょうか。
そして敗者への非難、勝者へ高まる次回作への期待と、
高まり過ぎた期待に追いつかなかったと言われている新作。
堕ちた偶像。その落胆からブームはやがて終焉を迎えます。
しかしながら今となっては言われている程酷い作品では無いと再評価されるように、
当時明らかにブームが行き過ぎていたんでしょうね。
当事者達はその周囲、業界とその仕組まれたムーブメントに乗った人々の手で
勝手に祭り上げられ、勝手な理想を抱き、勝手に絶望した。
悲劇のヒーローたるアーティスト達に同情の念を禁じ得ません。自分は皆、好きですけどね。
ジャーヴィス
パルプの時代から大好きなジャーヴィス・コッカー。
髪の毛やっぱり激減してるけど、怪しげで囁くような歌声とシニカルな歌詞は貫禄を増しつつあります。
パルプ時代のエロティックで個性的で破天荒な印象からは抜け出した感がありますが、現代の社会を掘り下げた「新生ジャーヴィス」としての新たな魅力を感じられるかもしれません。
でも、パルプのちょっと変態チックなノリが忘れられない私としてはマイナス★ひとつで…。