ロッシーニ:歌劇「セヴィリアの理髪師」 [DVD]
舞台装置が、扇子のモチーフで面白いです。
歌手に関していえば、何しろ脇役陣が素晴らしく、本来主役であるはずのフィガロや伯爵がかすんで見えるほどです。
特にバルトロがお見事。また、ロジーナもこれまでの楚々としたイメージとは少し違うと感じる向きもあるかもしれません。元気で自己主張のはっきりしたお嬢さんに出来上がっています。
総じて出演者のほとんどが自分の役をしっかり自分のものにしており、手中の珠を転がすような、完成された演技と歌唱でありました。
ただ、このディスクは2枚1組の仕様になっていて、ディスク交換のために流れが中断するのが残念です。LDと同じと思えばよいのでしょうが。
オッフェンバック:歌劇「美しきエレーヌ」全曲(ドイツ語歌唱)[DVD]
アーノンクールが訳詞上演を振るとは! きっとドイツ人オッフェンバックにとってウィーン上演版はもうひとつのオーセントなのだ、とかいう理屈が提示されるのかなと思っていたら、何のことはないフランス語でした。輸入業者だかアートハウスだか、どこでどうやってこんな間違い表示をやらかしたのでしょう(日本語表紙以外には訳詞とかドイツ語とは一切書いてない)。しかし、どっちのほうが商品価値があるのかな?
ミンコフスキと比べると少し重い演奏だが、私たちが昔から馴染んでいるオッフェンバックはこっちのほうだよなという思いもある。何よりローナーの演出がペリーほど奇抜すぎず、ほどよくキッチュでわかりやすい。
なお、2003年チューリヒの「メリー・ウィドー」でW=メストが次期帝王らしからぬカーテンコール・サービスで楽しませてくれているが、実はアーノンクールが先鞭でした。W=メスト以上に謹直なイメージなだけに客の湧き方は凄かった。