悪魔のパス 天使のゴール
メレーニアという架空のチーム、そこに属する架空の日本人選手と、主人公である多趣味な中年男性の話です。ちょっと昔のパルマ、フィオレンティーナ、ユヴェントスの選手が実名で出てきて試合をしています。初めはメレーニアの選手の名前がなかなか覚えられず、苦労しました。ですが、最後のほうのメレーニアVSユヴェントスのセリエA最終節は100ページを越える内容になっており、かなり読みごたえがあり、そしてすごい興奮しました。文字を読んで、映像が頭に流れる。実在する選手の顔などを覚えている人はなおさらです。
ですが、半分は推理小説なので、サッカーは好きだけど活字はちょっとという人はつらいかもしれません。僕がまさにそれでした。。。
悪魔のパス 天使のゴール (幻冬舎文庫)
正直言ってあまりサッカー好きとは言えない僕だから、この本のレビューを書いてはいけないのかもしれないけれど、「言葉で展開するサッカー」というのは、僕の頭の中では展開しきれなかった。例えて言うのも変だけれど、将棋の棋譜を読むような読解力がないと最後のシュートシーンしか楽しめないんじゃないかな。
でも、前半から中盤にかけての主人公自体が言うスパイ映画みたいな展開は、なかなか楽しめました。特に美人女史と会う辺りはワクワクしました。だからこそ、後半の怒濤のサッカーシーンで、肝心のドーピング剤は誰が何の目的で実行していたのかをうやむやにした終わり方が、とても残念です。
最後に解説の中で、中田英寿が「愛と幻想のファシズム」の主人公のトウジに憧れていたことを書いているけれど、あらゆる災難をはねのけ自分で解決できる男って、まさにミッドフィルダーに求められる資質なんだろうね。中田にエール送りたいです。