こんな女と暮らしてみたい [最終版]
三千綱恋愛論の集大成(ちょっと大袈裟かな)と言うべき一冊!
年齢、経験を重ねることで、
ようやくわかってくることが人生にはなんと多いことか・・・。
男として頷きながら読む箇所も多かった。
でも女性に、特に若い女性にも読んでほしい。
男の実態を、実際を、脆さを、純粋さを知ってほしい。
「太陽にはなるな、月になれ」
父からのこんなメッセージを受け取ったとき、
その真意がわかる女性に出会いたいな。
最後はちょっとホロリときましたよ。
九月の空 (角川文庫)
1978年の芥川賞受賞作。剣道に熱中する高校生・小林勇の成長する姿を描く連作短編3作が収録されている。
高校生を描いた最近の部活モノの小説とは少々異なる印象を与える。筆致が非常に男性的といえようか。著者が、主人公を突き放しているというか、剣道に打ち込む高校生の日々をたんたんと描き出している。
主人公の勇は、男子高校生がそうであるように、自分とうまく折り合いがつけられないところがある。だが、剣道部での活動、異性へのさまざまな想い、夏休みの放浪旅行、基地の町でのアルバイトなどを通じて、徐々に自分や世界との付き合い方を学んでいく。不器用で、ときに乱暴なときもあるが、着実に前進していく勇の姿勢はすがすがしい。
時代をこえて残っていく青春小説のひとつだと思う。
BLEATH LESS ブレスレス [DVD]
東京、杉並区阿佐ヶ谷を舞台にした、ある意味中央線気質な映画。
クサいなあと思う台詞でも、後々効いてくるから不思議です。
さらにクサいと思う演奏シーンも、かなり効いてくる。
昭和と平成の間を行き来するような、あったようでなかった不思議なトーンの映画。
素浪人心得――自由で愉快な孤高の男の生き方 (The New Fifties)
坪内祐三と福田和也の対談集で、両人とも「すごくいい」と誉めていたので、読んでみた。おそらくどこかの雑誌に連載されていた身辺雑記風エッセーをまとめたものだ。彼の著作は『九月の空』以外には知らない。それも実際に読んだことはない(映画は見た)。改めて彼の著作を確認してみたが、その数の多さに驚いた。小説あり、ルポタージュ集あり、エッセー集あり。しかし『九月の空』以外、まったく知らなかった。書店で見かけたこともない。彼が時代小説を書いていること自体、本書を読んで初めて知った。
後半で自身の病気のことが出てくる。糖尿病と肝臓障害で、HbAc 8.5%で、γ-GTPは4000を越えたそうだ。インスリン自己注射もしているらしい。こんな状態でも朝から飲酒し続けているのはすごい。余人にはとうてい真似できない豪胆さだと思う。
面白く読んだ。しかしお金を払ってまで買う価値はない。暇潰しにはなる。