ALWAYS 続・三丁目の夕日 オリジナル・サウンドトラック
まさかの「ゴジラ」のテーマで幕明けです。伊福部音楽も大好きな自分にとっては嬉しいプレゼントのようで、この続・三丁目〜のアルバムに入っているということに価値があると勝手に思っています。まったく同じではなく本家より軽快なオーケストラで佐藤氏らしさが出ているのが絶妙。
もちろんあの泣けるテーマ曲も健在。楽器もいろんなアレンジがされています。
そして特に後半18.「指輪(本当に泣ける)」、19.「嘘」、20.「踊り子」、21.「再会」、22.「ALWAYS 続・三丁目の夕日」は泣ける曲怒濤のなだれ込みでおなじみのメロディ+新メロディの編曲がとても新鮮で素晴らしい!ポロポロ涙が止まらず、ぞわ〜っと鳥肌が立ってしまいました。
全体的には前作より静かな印象かもしれません。
まだ作品は見てませんが絵が勝手に頭に浮かんでしまいます。自分の想像を超えていることを願い、又、楽しみにしたいと思います。
葬送 平野啓一郎が選ぶ”ショパンの真骨頂”
平野さんの解説を読みたいのと、色々な人の演奏が入っているので一曲でも新しい出会いがあればいいな、という気持ちで買いました。結果は両方共にとても満足でした。平野さんのショパン評は愛情にあふれていて、しかも的確で斬新でさすがだなと感心しました。それから新しい出会いの方ですが、サンソンフランソワの弾くピアノソナタ第2番に非常な衝撃を受けました。とてつもない出会いでした。凄い緊迫感の曲なのだけれど決して叩きつけるような迫力で強引に圧倒する演奏ではなく、何か凄まじいまでの詩的エネルギーと信じられない程の柔軟で新鮮な演奏で圧倒するのです。天才作曲家と天才ピアニストの組合せが1+1=2でなく3、5、いえ10以上のものをうみだしたのだと思いました。選曲してくれた平野さんに大感謝です。ピアノソナタ第3番もあとからだんだん凄さを感じてきました。他のピアニストの演奏を聴き慣れていたので初めは「ずいぶんゆったりしたテンポだわね」位しか感じませんでしたが、だんだん凄い演奏だと思う様になりました。とてもピアノ1台で弾いているとは思えない、まるでオーケストラの様な音の厚みと深さのある演奏です。独特の豊かな雰囲気だし別の曲かと不思議に思う位の素晴らしさでした。その他の曲もどれも素晴らしかったのですが、初めて出会った感動という事でピアノソナタ第2番について主に書きました。
芥川賞を取らなかった名作たち (朝日新書)
佐伯一麦「芥川賞を取らなかった名作たち」を読了。ジョン・ハート「ラスト・チャイルド」の池上冬樹の解説を読んで手に取った一冊です。
芥川賞を取らなくても名作は名作で存在する。そんな当たり前のことをちゃんと明示してくれる書です。でも本書に掲載されている中で読んだことのあるのは、島田雅彦「優しいサヨクのための遊戯曲」のみ。知らぬ間に芥川賞に私自身とらわれていたのかもしれません。でも昔の作品が多く、初めて目にした作者も多かったのも事実。今後の読書生活の中で1つのヒントになるでしょう。
また、小説家が小説を解説していますので、創作のヒントが詰まっています。そのヒントは1つの会話、1つの比喩の使い方というように、非常に細部にわたっています。ですから何らかの文章を書こうとする者には非常に参考になります。
巻末にはこれまでの芥川賞の受賞作、候補作一覧があり、読書の海を渡るときの1つの羅針盤を手に入れることができました。
冥土めぐり
表題作は、三島由紀夫賞・野間文芸新人賞等の受賞歴がある著者による、4作目の芥川賞候補作品。
著者の著作の中では最も読み易い文章であり、テーマも分かり易い。
グイグイと作品世界へ引き込む筆力は圧倒的。
諦念すらも感じさせる主人公の淡々とした態度が、
母と弟による仕打ちや夫の病の壮絶さを際立たせる。
ラストの解釈は分かれるだろうが、読後感は悪くない。
タイトルの意味をあれこれ想像するのも面白い。
☆2012/7/17追記 第147回芥川賞受賞しました☆
所収のもう一編『99の接吻』は、まさに鹿島田文学の真骨頂。
四姉妹の末妹が三人の姉達に抱く強烈な思慕の情を、
観念的・官能的に綴る。
登場する店名は全て実在するので、地図上にプロット可能。
谷中・根津・千駄木界隈の土地勘があると、本作をさらに堪能できよう。