ダークライト [DVD]
エデンの園でイヴとは別に生まれた不死の女、リリスが主人公。
有史以来、リリスを抹殺しようと追跡していたフェイスという組織が彼女をとある洞窟で捕獲。彼女を記憶喪失にし、エルという名の人間として育てていた。
彼女の体内で生成されるダークライトという物質は人を不死にする力があり、それを研究し延命治療に用いる会社、リーボーン社(Re・Bone?)を設立する。科学者アンダースはリリスから得た「リリスの菌種」で自ら臨床実験を行い、その結果、人を数時間で死に至らしめる「赤死病」を撒き散らすデモニコスに変貌してしまう。
デモニコスは次々人を襲い、米東海岸を壊滅状態に陥れる。フェイスのスタッフ、ウィリアムはエルに彼女の正体がリリスであることを告げ、彼女が世界を救うという預言があることを伝え、デモニコスとの対決の時まで彼女の記憶を取り戻させた……。
スターチャンネルで放映されていたものですが、配給がアルバトロスらしいというか、荒唐無稽な箇所が多々あります。まず、不死のリリスをなぜ抹殺しようとするのか、(不死なら死なないだろうに)折角捕獲したのに、彼女の正体が不老不死の残虐な魔物なのに、なぜ世界を救うという預言で彼女を生かしておくのか矛盾があります。
リリス(エル)役のシリ・アップルビーは(アルバトロスにしては)魅力的な俳優でありながら、その魅力を生かしきれていません。そもそもDVDパッケージにあるような妖艶な体に翼が生え、剣を携えるようなシーンは出てきません。(パッケージで売るのはアルバトロスの十八番なので気にしたら負け)
リリスとして覚醒した彼女は敵役と見た目が殆ど同じの醜いガーゴイルです。殺陣も大したことなく、東海岸を壊滅させたとするデモニコスにしても、赤死病の感染法が舌で被害者を貫くか、感染した死体に触れるかしないと移らないので、感染の広がり方にも疑問が。(死体が動くわけではないのだから隔離すれば済む話)感染した人間が次々とデモニコスに変貌して大量に溢れた方が映像的にも演出的にも面白いのに。
佳作ではありますが、「X-MEN」「アンダーワールド」に続く、光と闇を操る(そんなもの操ってない)最強ダークヒロインとの謳い文句には無理があるように思えます。
とはいえ、CGを効果的に用いているので、アルバトロスファンとしてはいい意味で裏切られました。
というわけで☆三つ。
フィラデルフィア管弦楽団の首席奏者たち アンコールVol.1&2
さすが名人ぞろいのフィラデルフィア管弦楽団である。録音された時期が1960年代前半というのがまた凄い。現代のソリストでもなかなかこの高みに達するのは限られているのではないかと思ってしまう。バイオリンのアンシェル・ブラシロウの素晴らしいソロで始まり、どの楽器も十分な名人芸を聞かせてくれるが、なかでもトランペットのギルバート・ジョンソン、ホルンのメイソン・ジョーンズ、ファゴットのバーナード・ガーフィールドのソロは選曲の良さもあって出色の出来ではないかと思う。ギルバート・ジョンソンは楽々とノーミスで難曲を吹ききっているし、メイソン・ジョーンズは速いパッセージと高音域の豊かな音量で魅了する。バーナード・ガーフィールドは20世紀最高のファゴット奏者の一人ではないだろうか。高速パッセージを何事もないように楽々と演奏している。ファゴットソロは録音そのものが少ないのでこの演奏は貴重だと思う。
PATIENT 14 戦慄の人体実験 [DVD]
現代を舞台にした地味なSFです。
実際にあった人体実験をモチーフにしているようですが、話の内容は現実離れしています。
映画化にあたってのアレンジでしょうね。
聴覚が鋭くなり、更には他人の思考まで読み取れるようになってしまった女性が主人公なのですが、この女性は他人の思考が読めることと聡明であること以外、なんの武器も持っていません。
犯罪に巻き込まれ聴覚を失った善良だけど平凡な女性が、聴覚を取り戻すための治療を受けてから人体実験をめぐる様々な思惑に巻き込まれ、ささやかながらも懸命に抵抗して自分の人生を取り戻そうとする姿がとても魅力的でした。
じわりと訴えかけてくるラストシーンも非常に印象的です。
フィラデルフィア管弦楽団の首席奏者たち-モーツァルト:管楽器のための協奏曲集
フィラデルフィア管の音はアメリカの楽団で弦の響きが美しいので一番好き、モーツァルトなんか最高だろうなと思ってた… ここまで優美な演奏だとは想像しなかったので呆気に取られました。よく聴くベーム&ウィーンと多少の表現の差こそあれ良い勝負… 押し付けがましくない心地好い演奏ですね。特にファゴット協奏曲は良い… こんなに軽く上品に吹けるものなんですねえ、慎ましやかでは有りますが大した名人芸です。二枚目は更に上品で地味な通好みのモーツァルト…熟睡できます(笑)
三枚目のホルン協奏曲全曲は、ホントに素晴らしいフィラデルフィア管らしい明るく美しい、尚且つパワフルなモーツァルトが聴けます。この曲はいつもはカラヤンとデニス・ブレインの共演盤で聴いてますが… ブレインは「えぇっホルンだよね?」って驚きの滑舌の良い正確さで音色も抑制され美しい演奏とすれば、メイソン・ジョーンズは「あぁーホルンだあねえ」ってたっぷりとしたホルンの響き全開で力強くおおらかな演奏です。