ラテンに学ぶ幸せな生き方 (講談社プラスアルファ新書)
ラテンアメリカで歌手として活躍されている八木啓代さんの最新著作。
これまでも八木さんの本は数冊読んでいるが、どれもこれも読みやすく、内容も目からウロコが多いので、今作も期待して読んだ。
今回のテーマは、「人間にとっての幸福とは?」
今日本では、ここ10年に渡って自殺者年間3万人を超え続けており(八木さん曰く、「自殺」とカウントされない自殺も入れると10万人くらいになるのではという話もある)、幸福と感じていない人の割合がどうも高いのでは?一方、日本のちょうど裏側に当たるラテンアメリカ諸国では、日本に比べて物質的には豊でないし、経済的にも貧富の差がまだまだ大きいのに、日本と比較するとなぜか幸福度は高い。
なぜか??は、実際に本を読んで見てほしい。様々な例が、「なるほどなあ」と思い当たるところが多い。
ただ、本書は「だから日本はまだマシ」とかで現状を肯定するものではない(大体が帯に「超格差も貧困も『しょうがない』で割り切っちゃう」と書いてしまっているが、これは本書の内容に対して誤解を生むかもしれない)。この日本の閉塞現状を打破するための「たたかい方を工夫せよ」というメッセージだと私は思う。
エメラルド
ウィシング、松岡直也BANDなど、日本のラテン・フュージョンの大御所「松岡直也」のサウンドメイクに携わってきた強者達が一同に会した作品。97年の録音。非常にシンプルな音作りで、いわゆるシンセサイザーなどの電気楽器は殆ど使用されていない。それだけ演奏するミュージシャンの個性がその輪郭をはっきりとさせている。参加ミュージシャンは、ベースに高橋ゲタ夫、フルートに赤城りえ、サックスに佐藤達哉、土岐英史、川嶋哲朗、トロンボーンに向井滋春、大儀見元のパーカッション・・・等々。松岡直也の娘さんもボーカルで参加している。
MARI
筆者の前作「喝采がお待ちかね」が面白かったことから、この本を購入しました。 著者はじめてのフィクションということで、半ばどきどきしながら読み始めたのですが、ウィルスという今日的なトピックをもりこんでいるサスペンスのプロットの面白さにひきこまれ、睡眠時間を大幅に犠牲にするはめに陥ってしまいました。
アメリカ大統領選挙の混乱・ペルーのフジモリ氏の「亡命」等南北アメリカが政治的に動いている今だからこそ、この本の面白さと筆者の読みの深さが際立つように思います。また、中南米を基地にして歌手活動を行なってきた筆者だからこそ知り得るディテールへのこだわり、人物の濃度もラテン諸国が好きな人にはたまりません。 筆者の次回作が楽しみです。
リアルタイムメディアが動かす社会: 市民運動・世論形成・ジャーナリズムの新たな地平
本書は、毎回、講師が代わる形で進行するオムニバス形式の大学の講義を
まとめたものだそうだ。講師の方々は、ジャーナリズムの世界等で第一線で
活躍されているようだが、正直、自分は知らない人がほとんどだった。
とはいえ、内容は素晴らしかった。
「リアルタイム・メディアが動かす社会」というのは講義の名称のようだが、
twitterやfacebookがジャーナリズムの現場等でどのように活用されているのか、
それによってどのように世の中を変えているのか、ということが、
講師の方々のたくさんの事例で非常によくわかり、とにかく面白かった。
こういった講義をライブで受けられる大学生が本当にうらやましい。
講義録の形式になっており、非常に読みやすい点もよかった。
オススメの一冊です。