ドアをロックするのは君 (二見書房 シャレード文庫)
父子の関係が入り組んだお話でした。
「甲田の父親」と「甲田が父親かもしれない」というふたつのポイント。
目の前にあらわれた似ている五つの少年。
めくるめく隠し子展開、頼久がどう動くのか問題。
もともと妾腹の子だある甲田ですが、その挿話に大きく触れてなかった気がします。
なので、甲田の父性については最後まで首を傾げるところでした。
そんなスキャンダルなお話のなかで、タイトルの「ロック」について言及していました。
言及、こんな難い単語が似合いの文章の気がします。わりかし説明しがちなぶぶんが多く。
嫉妬を隠していることや、それを口にして伝えることや。
家庭環境について見ない振りや、気づいていないことなどなど。
ロックしていたのは甲田と頼久、二人ともだったかなという印象です。
ただ隠し子展開で痛かったのは、甲田がパニくって「僕の子だ!君の子じゃない!」と叫んだ場面。
甲田が少年に対して犬猫以上の愛情を傾けるには早いなと思っていたので、本当に。
隠し子編は大団円を迎えるわけですが、非常に痛いシーンのある一冊でした。
えろい場面は何回かありますが、この痛さには正直参ります。
ドアを閉める。
そんな印象が各所おり込められているので、閉め出された感があります。
ショートが収録されています、縁日に出かけた夏の一日。
これで本編でうけた痛々しさは癒されました。
ハラジュク・ラヴァーズ・ライヴ [DVD]
Gwenちゃんのパワーにやられます。私はNo Doubtのライブのほうがやっぱり迫力があって好きです。でもアルバムLove.Angel.Music.Babyの世界をよくあらわしてると思うし、衣装とかセットがとってもかわいい。
おまけにこのアルバムからのPV集とかつけてくれたら本当にうれしかったです。本当に素敵なモノばかりなので。
シャーデー: ラヴァーズ・ライヴ [DVD]
Sadeのライブ映像は1994年のものについで2作目だが、比べるとやはり年をとった感じはあるが、前作では大人の女性とかすかに漂う少女っぽさが絶妙だったのに対し、成熟した女性の(母性すら漂う)魅力が全開だ。
演奏内容は、バンド・ユニット{Sade}とし活動しているに恥じないレベル。
昔と振り付けとか全然変わってなかったりするのもあってこれが又良い。ブルーを基調とした照明のトーンも美しい。
前作のライブ時は来日公演もあって感動もひとしおだったのに、今回のツアーで日本が外れたのは本当に残念!
Lovers Rock
SADEの音楽は独特なゆらぎのリズム感があり、いつ何時聞いても心地良い。イライラしてる時等に聞くと、音楽が体にすぅっと染み込んでくる感じで不思議と気持ちが落ち着く。もはや私にとってなくてはならない音楽となっている。
SADEの歌声からは、知性や母性、優しさ、人間的な芯の強さを感じる。このSADEの魅力と、バンドの素晴らしいアレンジが一体化している。
特に本作では以前の作品に比べても、その成熟度を増している様な気がする。
全ての曲に感じることだが、海の波の満ち引きや心臓の鼓動のリズムの様な生命の根元的なリズムを感じるのは私だけだろうか。胎教音楽にも良さそうだ。
ラヴァーズ・ロック
こころの中に暗い、薄暮の部屋があるなら、SADEとはそこにゆっくりと、しずかに染みわたる抒情そのものでしょうか。
哀愁や穏やかな愛が、ささやかにしっとりと部屋を照らしだします。黄昏に染まった壁紙が情感を映し出すような、音の風景があります。
そして今作はLovers Rockというジャンルがもたらす穏やかさ以上に、ヘレン自身の精神的な深まりが色濃く表れた作品でした。
R&Bの要素が少し増えつつ、しかしその音はやはりシンプルで、間合いも絶妙。
なのに非常に深い質感があり、音楽の底流に海を抱くような包容力を伝えるリーダー作品なのです。
従来のジャズコンテンポラリーよりもっと深くしなやかなソウルのフロウが流れており、そしてどの曲も非常に黄昏ています。
1「By Your Side」からそうですし、すべての曲に、こころの懐かしい部分へ訴えかける郷愁の色彩を持ち合わせた作品でした。