THE BEST(7)舘野泉【HQCD】
ピアニスト舘野氏の入門にして最上の選択。演奏が素晴らしいのは云うに及ばず録音も素晴らしい。予備知識なく聴いて欲しいと思う。「タピオラ幻景」が大好きです。空間に放たれた音が目に見えぬ粒子となって自身の胸に吸い込まれていく様子がわかる。こう云った感動をいつまで感じ取れるのか…そんな思いで毎回頭を垂れています。
ひまわりの海
著者は世界的に有名なピアニスト。
2002年、フィンランドでの公演中に倒れ、後遺症で右半身に麻痺がのこる。
失意の時を経て、ステージに復活した著者が、音楽への思い、演奏のため訪れた北欧や世界各国での経験をつづった随筆集が「ひまわりの海」。
ていねいにつづられた文章のなかに、舘野氏の音楽と同じ、静かで美しく、芯のある空気感が満ちている。
舘野氏は書く。
「…今感じているのは、音楽の喜びだけである。音楽がまたできる、指を通じて全身が、自分の全存在が楽器に触れ、聴いてくださる方々と、そしてこの世界と一体になっていく、その感覚だけである。(略)演奏をしている時には、片手で弾いていることさえ忘れている。充実した音楽表現ができているのに、どうして不足など感じることがあろう」
ピアニストの時間
舘野泉さんが約40年の間に書いてきた文章を一冊にまとめた本です。
シベリウス、パルムグレン、シューベルト、シューマン、
武満徹らの作曲家と作品の魅力と真髄を語る一方で、
タンゴについてもその運命的な出会いを熱く述べています。
“音楽それ自体が語る”を信じる舘野さんの、
ピアノに触れられること、音楽と対話できることの
歓びにあふれています。
ただ、不適切な日本語や誤字が目に付いたのが残念でした。
風のしるし-左手のためのピアノ作品集
失礼ながら私は60年代以降のロック・ソウル等の音楽を聴き続けてきて、最近ようやくクラシック等の音楽に耳を向けた人間ですから、良い・悪いの判断は非常に主観的で感覚的なものですが、広島の音楽店にこのCDが並べられており、気になって購入し、現在聴き終えたところです。正直、感嘆としか言えない自分自身に驚愕を覚えています。
人間は五体満足に生まれてくるだけでも「ありがたい」事ですが、舘野氏のようにアーティストとして大成功されながら、病で右手の機能が不自由になられていて、普通だったら致命的な打撃を心に受けつつ病に負けていく方々が多い中、このCDで舘野氏が弾かれているピアノの音、旋律には右手の不自由を全く感じさせないどころか、それ以上に「心に沁みる何か崇高な音」を感じました。人間は生きている限り、あるいは生かされている限り、人様に対して何かを与えていく事が必要だと、良く松原泰道先生等の書物から学習しましたが、それを正に舘野氏は実践し、更に我々に感動を与えてくれる…本当に素晴らしい事と思いました。
フィンランド・ピアノ名曲集
各作曲家の小品をコンパクトにまとめたものです。
どれを聞いてもすばらしいものばかりです。
私はシベリウスの「練習曲」とクーラの「結婚行進曲」が特に気に入っています。
さすがは舘野泉さんだ、と思いました。