TOP 10
パラダイス山元&東京ラテンムードデラックスのデビューアルバムにしてトリビュートアルバムです。
東京パノラマ マンボボーイズの時代、私は日比谷の野音で彼等のステージを観ました。パラダイス山元氏は"パチンコしましょ"と歌ってましたが、タモリ倶楽部出演や公認サンタクロース大使といった顔から、一種のパロディとしてラテン音楽をやっている様に思われがちですが、誤解です。彼等が本格的なラテンバンドである事は、例えば3や5のオケでお解りになるでしょうし、単にラテンのフォロワーというだけで無く、日本で育った和製ラテンの"ムード"を現代に継承するものであり、バンド名がそれを物語っています。情報が入らない時代、憧憬を頼りに独自のスタイルを形成し音楽文化としての「マンボやラテン」。実は大まじめなロマンチシズムが込められております。
現代の情報過多はともすれば想像力を退化させ、安易な物真似しか生みません。ここには、進化するはずだったのに時代に中絶され、過去の遺物として葬られてしまった「日本独自の音楽」が、再認識され再生されようとしています。
例えば、園田ルリ子のラテン歌謡をほうふつとさせるスタイルなど確信犯なのであり、一見バンドの可愛らしいマスコットガールやアイドルに見えますが、実にしたたかな歌唱力です。
私が大好きなのは、何と言ってもシングルリリースされた3や1、ビシバシステムの二人が60年代ファッションでこれも確信犯的にムード歌謡を唄う5など、わかる人にはグッとくるはず。ゴージャスでデラックスなオーケストレーションとアレンジ、心憎いばかりです。