いまや伝説と化した最初の東大寺コンサートから30年。
そして時は流れて、平成の世に再び開催されたコンサート。
ここで歌われた「まほろば」と「修二会」は普通のコンサートで聴くよりも一味も二味も違うほどの圧巻。
東大寺お水取りの声明
二月堂修二会の悔過作法の声明は内陣の奥深い場で唱えられて、深夜の人出と寒さの中で落ち着いてはなかなか聴き取れない。ホールの公演で録音されたこのCDによって、これまで断辺的にしか聞こえなかった声明の全体がはじめてどんなものなのか分かった。六時のうちの日没、後夜、晨朝それぞれの声明が収められている。六時のそれぞれによって同じ経文であっても節回しや速さ、声の大きさが異なることが明瞭にわかる。特に晨朝の激しさには驚いた。南無観コーラスには陶然となり、乗せられて私まで一緒に唱えてしまう。声による行であり、一種の音楽に違いない。経文のテキストは現代語も付いているが、声明やそれが唱えられる悔過作法については、佐藤道子『東大寺お水取り』(朝日新聞出版)の解説が詳しく分かりやすい。二月堂修二会の核心である悔過作法、声明はその作法の中心である。普通には聴き取りがたい声明がこんなにも容易く鑑賞できる恩恵をつくづく思う。
シンフォレストDVD 紅葉 名所絶景を訪ねて/映像遺産・ジャパントリビュート
全国の紅葉の名所の映像が非常に美しく撮られており非常に良いです。
居ながらにして全国の紅葉の名所を訪問した様な気分になり皆様、是非
ご覧になられたら良いと思います。
もっと知りたい東大寺の歴史 (アート・ビギナーズ・コレクション)
東京美術のもっと知りたいシリーズはお気に入りです。オールカラーですし、分かりやすく丁寧な解説、ビジュアル的な質の高さを感じられる編集だと評価しています。そこに今回『東大寺の歴史』が加わりました。
奈良と言えば東大寺でしょうか。日本各地だけでなく、世界各国から多くの観光客が訪れる有名寺院ですが、本書でその歴史と美術品の数々をしっかりと理解できる編集になっています。
美術書ではなく歴史書ですが、東大寺が誇る見事な文化財群が掲載してあり詳しく紹介してあるわけですから、眺めているだけで日本仏教美術の流れをたどるような感覚に襲われます。
22ページには「大仏ができるまで」が図解入りで解説してありましたし、31ページには再建されるたびに少しずつ小さくなっていく大仏殿の比較が掲載してありました。天平の創建時は実に巨大なものでした。
正倉院所蔵の螺鈿紫檀五絃琵琶の名品の紹介や、運慶・快慶作と言われている南大門の金剛力士立像が見開きで迫力ある姿を披露しています。見事な彫刻ですし、まさしく傑作の名にふさわしい迫力です。
著者は、東大寺執事長・東大寺上院院主・東大寺福祉事業団理事長の筒井 寛昭氏、東大寺総合文化センター東大寺ミュージアム館長の梶谷 亮治氏、東大寺図書館員・東大寺史研究所研究員の坂東 俊彦氏です。執筆陣に相応しい陣容でした。
本書の内容です。東大寺とその周辺 プロローグ 東大寺前史(華厳経の教えとは? 絵解き東大寺縁起 大仏のできるまで) コラム 東大寺要録─東大寺1250年の歴史を伝える寺誌
第1章 大仏開眼(奈良時代)(記録から見る奈良時代の落慶法要、大仏と大仏殿、二月堂の建築、特集 修二会の始まり/修二会という行事、鑑真からの授戒と戒壇院の創建、奈良時代の文化財、聖武天皇の崩御〜光明皇后と正倉院 正倉院所蔵のゆかりの品々) コラム 再建とともに小さくなっていった大仏殿 練行衆とは 東大寺こぼれ話 青衣の女人
第2章 八宗兼学の学問の寺・南都焼き討ち(平安時代)(東大寺にゆかりの僧 空海・聖宝、東大寺の荘園経営と伽藍の維持管理、平安時代の文化財、治承の兵火と大仏修復、東大寺こぼれ話 二つの大仏縁起)
第3章 大仏殿炎上と復興(鎌倉〜江戸時代)(鎌倉時代の再建、重源の構想、鎌倉〜江戸時代の文化財、教学の復興─東大寺の学僧 円照・宗性・凝然、特集 東大寺の年中行事、室町時代の東大寺、永禄の炎上─戦国時代、東大寺の江戸復興、大仏殿落慶供養) コラム 台風・地震の揺れに強い大仏様の採用
エピローグ 守り伝えられる東大寺の心と文化 コラム 東大寺図書館 東大寺略年表、参考文献、東大寺所蔵文化財関連索引
(東大寺人物伝 良弁、鑑真、実忠、空海、聖宝、重源 謎の前半生、栄西、円照、凝然、 公慶 江戸復興の立役者)