宇宙戦争1941 (朝日ノベルズ)
この筆者の作品はデビュー以来(多分)全て読みましたが、【設定抜群・記述ダラダラ】の期間があった上に
最近はとにかく「帝国海軍最高!!」的な作品も多く、記述がこなれて筆致が面白くなった半面【為にする】
作品が多く出てきた(「浅間」「擾乱」シリーズ)のもあって、些か辟易していました。
今まで、架空戦記(WW'2的)以外では『東京地獄変』『故宮奪還』しか無かった筆者が、いよいよ「碧玉」
シリーズ完結でネタ切れか、と思いきや、体調を崩して病に伏してから、なにかフッ切れたものがあったのか
突如として登場させた快作です。
元ネタの、H・G・ウェルズ作品も読んでいますが、これを実に巧妙に折り込んで、同時に描き慣れたWW'2
期の架空戦記と絡めての絶妙な設定は眼から鱗です。今まで、WW'2の各陣営を様々にタッグ入替えしつつ
描き次いで来た筆者が、真珠湾攻撃と同タイミングでの火星人襲来という大転換でWW'2そのものを無くして
しまった、という点が見落とされがちな大転換でしょう。今までWW'2そのものを回避した例はなかったわけ
ですから。その意味で筆者にとっては大ブレイクスルー、ではないでしょうか。
SF的設定志向は「擾乱」シリーズで萌芽があった、とはいえ、ここでガンと見事な卓袱台返しで読者の度肝
を抜いたのは脱帽です。また、この作品では、筆者の持ち味の一種淡々とした情景描写の積み重ねの文体が、
逆にケバケバしくなりがちな設定に見事にマッチして底支えし、重厚感さえ出てきている。細部では突っ込み
どころもあるものの、【それがどうした?】と筆致でネジふせられてしまう。次巻に期待したく思います。
宇宙戦争 (創元SF文庫)
ウェルズの天才的な描写力が限りなく発揮されている不朽の名作だといえます。火星人の襲来によってもたらされた災厄が細やかかつ波状的に描かれている中に、限界状況での人間の本性、信仰の意味、希望と絶望の交錯などが織り込まれていて思想の深みも具えています。アメリカのアクション超大作映画には期待できない芸術作品としてのアロマが漂っているのです。
この作品はサイエンスフィクションの古典であるまえに、科学と信仰の相克が切実な問題であった19世紀末の必然的な産物だといえるでしょう。ウェルズ自身の態度を主人公の牧師補への態度に見出すことが十分可能ではないでしょうか。SFが思想の実験場であることを如実に感じさせる愛すべき作品です。
SIMPLE2000シリーズ Vol.78 THE 宇宙大戦争
2000円という安価で燃える飛行機物がやりたい、ってヒト向けの作品。
ただ思惑分さえも楽しめないのはシステムというより作り手のセンスのなさが原因か。
例えば戦闘のほとんどがショートレンジでの射ち合いになる。これは空中の敵戦闘機がこちらの旋回半径の内側に次々と潜り込んでくるから。
自機は操作性のヒドさもあいまってほとんど追いかけっこでは負ける。だから無理矢理ヒットアンドウェイにでも持ち込むか、ぐるぐる回って近距離からミサイル撃ちこむしかないという現状。
はっきりいって文字にする以上に作業は苦痛。
それととにかく盛り上がりに欠ける。
ムービーを入れられないならば、オペレーターやテレビクルーの喋りでもちっと何かできないものか。
HGUC 1/144 RGM-79GS ジム・コマンド (宇宙仕様) (機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争)
旧0080キットは専用ポリパーツを採用されたにもかかわらず、塗料が乗らないうえ、GM系キットに至っては膝関節が二重(ポリパーツ)であるのにあまり可動しません。今回のHGUC化で何が変わったか膝関節はデザインがアレンジされて二重関節は変わらないうえ塗装後に組めるようになったことです。但し肘関節はABS樹脂を採用(付属の銃も)したことで関節の耐久性は問題無い(大型の武器を携行する設定はジムスナイパーツーのみ)問題はラッカー系塗料の筆塗りができなくなったことです。但し旧キットよりパーツ構成が親切で塗装(赤色の成形色は個人的に玩具に見えます)しなくてもよい仕上がりになります。