MOUSE(マウス) (ハヤカワ文庫JA)
ネバーランドでの子どもたちのパーティーは終わらない。好き勝手に生きてるように見えて、実は不安でいっぱいの子どもたち。18歳未満お断り、そんなフレーズは終わらないのはパーティーだけだという何よりの証拠。いつだってなにかとてつもない不安から逃げようとしてる子どもたち。突拍子も無いように見えて、共感せずにはいられない。
死んだ女は歩かない (幻狼ファンタジアノベルス)
ということで牧野修の2010年作。いやぁ牧野さん、ノッてます!絶叫と苦痛が充満する地獄絵図の中横たわり、泥のような曇天を見上げて死にゆく男の描写から始まる冒頭からしてグッとくるわけだが、今作の主役はこの男でない。主役は女。いわばミラ・ジョヴォヴィッチのように強く、逞しい女がかかる物語の主人公でありまする。
人体に寄生し、いかなる臓器へも擬態することでその欠陥を修復してしまう医療虫【メディカルワーム】の発明により一時は身体の黄金期を迎えたかに見えた世界。が、例によってそのムシくんが暴走し、人体を予想外のモンスターへと変貌させてしまう事態が相次いだのだ!というのがお話の導入部。そいつへ感染した「男」どもは、死ねば周囲のものを見境なく襲い、喰らうゾンビになっちゃうし、かたや「女」はゾンビにこそならねど、特異な能力を持ったチェンジリングになっちゃったりするのだ。つまり死んで歩き回るのは男だけ、という次第。dead girl no walk。作者いわく「女だらけのX-MENぽろりもあるよ、& ゾンビでございますよ。」
で、そんな男の感染者をまとめて隔離収容する千屍区を舞台に、そこへ赴任してきたチェンジリングのミラジョボヴィッチ、じゃなかった乾月がイロんなヤツらとバトるという次第。相変わらず異形のモノ(の時に非業)を描くのがむっちゃ巧い牧野さん。今回も各篇ごとに実に魅力的なキャラが立ち描かれ、しっちゃかめっちゃかなバスターズっぷりが賑やかに展開する。ラストにかけてなんだか描写が妙に説明的になってるゾ?という部分はあれど、今回も読み出すと止まらなくなる面白さがしっかりとアリました。さらっとライトなドライヴ感を主軸に、最近の牧野作品の充実っぷりはちょっと凄いかも。本作も最後には続編への含みがしっかりと残されており、以降への期待も高まります
晩年計画がはじまりました (角川ホラー文庫)
前半がおもしろかっただけに、後半の展開にはがっかりした。
福祉の仕事の報われなさ、理不尽な要求をしてくる客たち、孤独な老人。
ここら辺の描写はとても良く出来ていて、興味深い。
だが、肝心の晩年計画というのがどうしょうもない。
現実味が全くないし、ご都合過ぎる。
後書きによると震災以降
バッドエンドにするかどうかで悩んだそうだが
こんな取ってつけたようなバッドエンドでは全然楽しめませんよ